【2024年4月】(第200号)

桜の季節を迎え暖かくなってきました。春霞、黄砂など、星空を見る環境は決して良好ではないのが残念ですが、寒さも緩みスターウォッチングにはとても活動しやすい時期となります。星空に目を向けますと、しし座が東の空からかけ登っている姿が見られます。そして、それに続き北の北斗七星の柄の部分からアルクトゥルス・スピカへと南に伸びる大アーチ、「春の大曲線」が目を引きます。
今月の星空ですが、3月から4月にかけて日没後の西の空に12P/ポン・ブルックス彗星を観ることができます。3月中は5~6等級であったものが、4月21日の近日点通過のころには4.5等級になると予報されています。双眼鏡があれば少し尾を引く姿を見ることができるでしょう。4月10日には木星の近くを通過しますので、木星を目印にすれば双眼鏡でも簡単に見つけることができます。
また、4月11日には月齢2.7の月とプレアデス星団の接近が日没後の西の空で見られます。こちらも双眼鏡で探してみましょう。
まだまだ夜は冷え込みますので観望されるときには「防寒対策は万全」に!
(はただ なおき)

12P/ポン・ブルックス彗星
2024年3月13日 小林和彦 撮影

【2024年3月】(第199号)

3月21日の春分の日を過ぎると昼の時間が夜よりも長くなりスターウォッチングにとっては星を見る時間が次第に短くなるので、少し残念な季節を迎えますが、夜のきびしい冷え込みはやわらぎ星が見やすくなってきます。
星空に目を向けますと、冬眠から目を覚まし動き始めたおおぐま座が北東の空に昇ってきております。このおおぐま座、ひしゃくの形をした北斗七星を目印に探すと簡単に見つけることができます。北斗七星はおおぐま座の背中からしっぽにあたります。この付近は以外と星の数が少ないので、北斗七星から星の並びをじっくりとたどって大きな熊の姿を形づくってみてください。
今月の星空ですが、3月の下旬は太陽に近く観るのがむつかしい水星を観るチャンスです。25日の夕方に水星が東方最大離角となり、西の空に見つけやすくなります。日没後30分の高度が10度強と低いですが、好条件ですので双眼鏡などで探してみましょう。
観望されるときには「防寒対策は万全」に!
(はただ なおき)

北東の空に昇るおおくま座

【2024年2月】(第198号)

今月4日は立春、暦の上では春を迎えますが、寒さは依然として厳しく天体観察には尻込みをしてしまう辛い時期です。防寒対策は万全で望んでください。
さて2月の宵の南の空には、冬の星座の代表のオリオン座を見ることができます。星に興味のない方でもオリオン座を一度は聞かれた方はたくさんおられることでしょう。その星座の姿はとても美しく、オリオン大星雲、馬頭星雲、そしてウルトラマンの生まれ故郷「光の国」M78星雲など見どころが満載です。ぜひ望遠鏡などで楽しんでください。
また、2月24日の満月は2024年の満月の中で最も地球から遠く、見かけの大きさが最も小さな満月となります。月は2月24日21時30分に満月となり、翌日25日の23時59分に遠地点を通過します。満月のときの地心距離は約40万6000キロメートル、月の視直径は約29分26秒角です。ちなみに、今年最も地球に近い位置で起こる満月は10月17日です。
観望されるときには「防寒対策は万全」に!
(はただ なおき)

【 2023年の最小と最大の満月の比較】

【2024年1月】(第197号)

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。猪名川天文台スタッフ一同、心から来台をお待ちしております。
1月は寒さが非常に厳しくスターウォッチングにとってはとても辛い時期になりますが、澄みきった夜空では美しい冬の星座や惑星が一段と輝きを増して出迎えてくれます。
さて1月の星空ですが、 2024年の年明けの夜明け前には「明けの明星」金星が鋭い輝きを放っています。1月は西方最大離角となる水星と合わせて、内惑星が日の出前の空に揃います。
また、4日に「しぶんぎ座流星群」が極大となります。放射点はりゅう座のイオタ星の近くにあります。今年の極大は4日の18時と予報されており、放射点が高くなる4日未明と5日未明が見ごろとなりそうです。夜半過ぎには月明かりがありあまり条件は良くないですが観察してみましょう。
観望されるときには、防寒対策は万全に!
(はただ なおき)

【 金星と水星の接近(撮影:2010年4月4日)】

【2023年12月】(第196号)

師走に入り、何かと心せわしい時期となりましたが、忙しい時の合間にほっと一息、夜空を眺める時間を作ってみてはどうでしょう。
宵の頃の夜空には、冬ではありますが西の空の低空にはまだ夏の星座が残っています。しかし、東の空に目を向けますと、透明度が増した夜空に華やかな冬の星座たちが昇ってきています。そして中でも、南東の空にひときわ明るく輝いている星に気づかれます。太陽系最大の惑星「木星」です。絶好の観望シーズンを迎えていますので、ぜひ猪名川天文台など公共施設の大型望遠鏡を利用して木星の縞模様やガリレオ衛星などに注目して観察してみて下さい。
12月14、15日にかけて三大流星群のひとつである「ふたご座流星群」が極大を迎えます。13日が新月ですので月明かりの影響はなく最高の条件となります。
観望されるときには、防寒対策は万全に!
(はただ なおき)

【 ふたご座流星群(撮影:2022年12月15日)】

【2023年11月】(第195号)

夜の時間も長くなり、澄み切った夜空を見ることができる季節となりました。
目を夜空に向けますと、天頂付近やや北寄りにカシオペア座を見ることができます。カシオペア座のすぐ東にはペルセウス座があり、その境界付近には二つの散開星団が寄り添う二重星団を見ることができます。NGC869をh(エイチ)、NGC884をx(カイ)、2つ合わせてh-x(エイチ・カイ)とも呼ばれます。二重星団は望遠鏡が無くても双眼鏡でも楽しめる天体です。
さて、11月の星空ですが、木星が11月3日に衝となり観望の好機を迎えています。天王星も11月14日に衝を迎え、観望の好機となります。
また、しし座流星群が11月14日に極大となります。近年は活動が低調ですが、今年は夜半前には月は沈むので良い条件で観察することができます。
観望されるときには、防寒対策は万全に!
(はただ なおき)

【 二重星団h-x(撮影:2021年11月29日)】

【2023年10月】(第194号)

夜の時間も長くなり、さらに秋の澄み切った夜空を見ることができる季節となりました。秋の星空は明るい星もなく少し寂しささえ感じられますが、カシオペア座、アンドロメダ座、ペルセウス座、そして天頂付近には、秋の四辺形として知られるペガスス座など、ギリシャ神話「エチオペア王家の物語」を代表する星座が見られます。
特にアンドロメダ座には、暗いところでは肉眼でも確認ができる「アンドロメダ銀河」を見つけることができます。250万光年先にある銀河の淡い姿を、猪名川天文台の望遠鏡で是非ご覧になってください。
22日の朝にハレー彗星が母天体であるオリオン座流星群が極大となります。明け方は月明かりもなく条件は最良です。
また、29日の明け方に部分月食が起こります。あまり大きくは欠けませんが、部分食の始めは4時35分、食の最大(食分0.128)は5時14分、部分食の終わりは5時54分と全経過を見ることができます。少し早起きをして観察してみませんか。
夜は冷え込みが増します。観望されるときには、防寒対策は万全に!
(はただ なおき)

【 アンドロメダ銀河(撮影:2021年11月29日)】

【2023年9月】(第193号)

9月23日は秋分の日、暦のうえでは秋なのですがまだまだ残暑は厳しいです。星空の方も宵の頃、天頂にはまだ夏の大三角が輝いており、夏の気配すら感じるのですが、この秋分の頃を境にだんだん夜が長くなるのと合わせたかのようにしだいに秋の星座が宵の東の空に姿を現すようになってきます。
さて、9月の見どころですが、8月28日に衝を迎えた土星がいよいよ観望の好機に突入です。今シーズンの土星の環の傾きは、2025年の環消失に向けかなり小さくなってきました。昨年よりもさらに環の傾きが小さくなった土星をぜひ見に来てください。
21日にはさそり座の1等星アンタレスが半月前の月に隠されるアンタレス食が見られます。潜入は日没前の17:15(大阪)で見るのは難しいですが、出現は18:44(大阪)で既に空が暗くなっていますので双眼鏡や小型望遠鏡でも十分観察可能です。
また、29日は「中秋の名月」です。まんまるなお月さまを、虫の声に耳を傾けながら楽しまれてはどうでしょう。月末にもなると夜の冷え込みも増してきますので、天文台に来られる際は服装にはご注意下さい。
(はただ なおき)

【 土星(撮影:2023年8月12日)】

【2023年8月】(第192号)

いよいよ今年も夏本番が到来しました。夏休みには、ご家族と夕涼みを兼ねて夜空の暗い場所で星空を楽しまれてはいかがでしょう。特に月の無い夜は天の川を見るチャンスです。天の川は、はくちょう座からいて座の方向に流れており、いて座付近が最も幅が広く見えます。
さて、8月の星空ですが、明るい流星も多いことから皆様もお楽しみにされている恒例のペルセウス座流星群が8月12日~13日にかけて極大を迎えます。今年は13日の未明に月齢26の月が昇りますが、細い月なのであまり観察には影響ありません。明るい流星を期待して観察して下さい。
また、土星が8月28日に衝を迎え深夜の南の空に見ることができます。土星は傾いた状態で、太陽の周りを約30年で公転しているので、環の傾きも30年周期で変わって見えます。2017年に環の傾きが最も大きくなった後、徐々に傾きが小さくなっています。2025年には環が地球に対して真横から見える位置になり、環消失という現象も見られます。
(はただ なおき)

【夏の天の川(撮影:2022年7月29日)】

【2023年7月】(第191号)

7月といえば七夕。晴れていれば、東の空には天の川とおりひめ星(ベガ)とひこ星(アルタイル)が昇ってきていますが、7月7日は残念ながら、あいにく梅雨の真っただ中でなかなか七夕伝説を楽しむことができません。梅雨明け後の旧暦の七夕(8月22日)に期待をして楽しみを取っておきましょう。
7月の星空ですが、7月7日には、宵の明星金星が最大光度-4.7等となります。これぐらいの明るさになると、肉眼でも青空の中に見つけることができるそうです。目を凝らして捜してみて下さい。ただし、直接太陽を見ないように気をつけましょう!
さらに、20日には、夕方の西の空に水星、金星、火星と細い月が集合します。
また、冥王星が7月23日に衝を迎えますので、深夜に南の空に見ることができます。明るさは14.9等と非行に暗いですので肉眼で観察するには口径30cm以上の望遠鏡が必要となります。
(はただ なおき)

 

【おりひめ星とひこ星(撮影:2022年5月7日)】

【2023年6月】(第190号)

6月は夏至がありもともと一年で一番日が長い時期です。また、梅雨の季節でもあり、星空を眺める機会が少ない月です。それでも梅雨の合間の晴れた夜は、大気中のちりが雨で洗い流され、 はっとするほどの満天の星空に出会うことがあります。晴れた夜にはぜひとも星を眺めてみてください。
6月の日の入り後、西の空高くに金星がとても明るく輝いています。金星は、6月4日に東方最大離角となり太陽から最も離れた 位置に見えますが、それ以降は8月12日の内合に向けて次第に高度を下げて行きます。宵の空に金星が見られるのは7月末ごろまでですので、今のうちに明るく輝く金星を楽しんでおきましょう。
さて6月の星空の見どころですが、13日から14日にかけて金星がかに座の散開星団M44(プレセペ星団)のすぐ横を通過していきます。空が暗くなる20時30分ごろに双眼鏡で眺めれば、プレセペの星々と明るく輝く金星を一緒に見ることができます。さらに金星を望遠鏡で拡大してみると、月のように欠けた姿を見ることができます。
(はただ なおき)

【宵の明星 金星(撮影:2009年1月11日)】

【2023年5月】(第189号)

夜の寒さも穏やかになり、星を見るにはよい季節となってきました。ゴールデンウィークは、少し夜更かしをして星を楽しんでみてはいかがでしょう。
5月になると、北の空高くに北斗七星が見られるようになり、その柄のカーブの延長線上にうしかい座の1等星アルクトゥールスとおとめ座の1等星スピカを見つけることができます。これを春の大曲線と呼びます。スピカの先にはカラス座とコップ座があり、これらの星座にはあまり明るい星はありませんが、春の大曲線から簡単に見つけることができます。夜半過ぎには、東の空に夏の星座と天の川も昇ってきます。
さて、5月の星空の見どころですが、6日の未明に月が地球の淡い影(半影)に隠される半影月食が起こります。今回は食の最大時に月のほとんどが半影の中に入り本影のすぐ近くを通過することになるので、月の上部が少し暗くなるのを見ることができるかもしれません。また、この日はみずがめ座η(エータ)流星群の極大日の前日でもありますので、月明かりはありますが半影月食と流星の両方を楽しむことができます。
(はただ なおき)

【春の大曲線(撮影:2019年3月8日)】

【2023年4月】(第188号)

寒さが厳しい冬が去り、桜の花が咲く季節がやってきました。猪名川町の今年の桜の見ごろは3月末から4月の初めごろになりましたが、猪名川天文台のある大野山は標高が高いので4月中旬ごろに見ごろを桜の迎えます。 遅咲きの桜をぜひ見に来てくださいね。
春の星座には、冬の星座ほどもきらびやかな明るい星はあまりありませんが、それでも春の明るい星で構成される春の大三角があります。春の大三角は、しし座の2等星デネボラとおとめ座の1等星スピカとうしかい座の1等星アルクトゥールスを結んでできます。アルクトゥールスとスピカは、北斗七星の柄のカーブの延長線上にもあり、これを春の大曲線と呼びます。ぜひ晴れた夜に、春の大三角と春の大曲線を探してみてください。
さて、4月の星空の見どころですが、12日に水星が東方最大離角になり見ごろを迎えます。水星は最も太陽に近いところを公転しているので、常に太陽に近くにありなかなか見ることができない惑星です。東方最大離角の頃は、宵の空に太陽から最も離れて見えるので水星を見る絶好のチャンスです。晴れた日の日没後宵の空に水星を探してみましょう。
(はただ なおき)

【桜としし座(撮影:2018年4月21日)】

【2023年3月】(第187号)

3月に入ると気温も上がり、梅の花が咲き、うぐいすの声も聞こえ春の気配が感じられる頃となります。
宵の頃、星空に目を向けますと、冬の夜空に1等星を従いすばらしい輝きを見せていた「おうし座」、「オリオン座」、「ぎょしゃ座」、「おおいぬ座」、「こいぬ座」「ふたご座」などの冬の星座は西の空に移り、一方、天頂から東側の夜空には春を代表とする「しし座」や「おおぐま座」をはじめとする星座の姿を見つけることができます。星空も季節が冬から春へ変化が進んでおります。夜のきびしい冷え込みはやわらぎ、動きやすくなってきます。スターウォッチングを楽しんで下さい。
さて、3月の星空ですが、1月、2月を含め北から南へ冬の星座を縦断し、我々の目を楽しませてくれていたズイーテイ―エフ彗星がいよいよ地球から遠ざかります。3月上旬には「オリオン座」リゲル北西を南下します。双眼鏡を活用し去りゆく彗星をご覧になって下さい。
3月2日の夕方西の空では巨光どうしの木星(-2.1等)と金星(-4.0等)が接近します。簡単に撮影できますのでぜひ接近の姿をデジカメで撮影してみてください。(固定撮影1~2秒程度200~300㎜もあれば木星のガレリオ衛星も写せます。)
3月24日には、細い月(月齢2.8)と金星が大接近します。薄明の中から見えはじめ、だんだん近づく姿を楽しむことができますが、時間が経つにつれ高度がとても低空となることから西の空が開けている場所でご覧になって下さい。
(みぞかみ よしひろ)

【しし座(撮影:2023年2月27日)】

【2023年2月】(第186号)

2月4日は立春。暦のうえでは春となるのですが、2月は一番寒さが厳しくスターウォッチングにとってはとても辛い時期を迎えますが星空を楽しんでください。
宵の頃星空に目を向けますと、冬は四季の中で1等星が一番多く見られ、全天21個の1等星の内、7個も見ることができ明るく輝く星空を堪能することができます。しかしこの時期もう一つの観望の楽しみとして、冬の大三角ベテルギウスとプロキオンを結ぶ中心部分からシリウスを経由し、さらに南に目線を下っていくと地平線近くに全天で2番目に明るいりゅうこつ座のカノープスを見つけることができます。このカノープス中国では南極老人星と呼ばれており、見れば長生きできるとされる縁起の良い星でもあります。一度探してみてください。でも低空で、気象条件の影響をとても受けることから難易度は非常に高いですが南の開けた場所で双眼鏡などを活用し是非チャレンジして下さい。
2月の星空ですが、1月にもお話いたしましたズイ―テイ―エフ彗星が2月2日に地球に接近し、ぎょしゃ座からおうし座へ移動していきます。2月5、6日にはカペラに、2月11日には火星に、そして2月14、15日にはアルデバランに接近します。見つけやすい位置ですので双眼鏡を活用し観望して下さい。また、固定撮影でも写真に撮ることができますよ。
さらに2月は月と惑星、そして惑星どうしの接近がご覧になれます。まず、2月22日には金星と月(月齢2.1)が、23日には木星と月(月齢3.1)が日没後西の空で接近します。2月15日には金星と海王星が接近しますが、これは望遠鏡が必要となりますのでご注意を。盛りだくさんの天体ショーをお楽しみください。
観望されるときには「防寒対策は万全」に!
(みぞかみ よしひろ)

【ズィーティーエフ彗星(C/2022 E3)(撮影:2023年1月26日)】

【2023年1月】(第185号)

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。猪名川天文台スタッフ一同、心から来台をお待ちしております。 1月は寒さが非常に厳しく、スターウォッチングにとってはとても辛い時期になりますが、澄み切った夜空の美しい星ぼしの輝きが出迎えてくれます。
1月の星空ですが、4日未明に「しぶんぎ座流星群」が極大となります。放射点はりゅう座のイオタ星の近くにあります。放射点はりゅう座のイオタ星の近くにあります。今年の極大は13時昼と予報されております。今年は残念ながら月齢11.7満月前の月があり、4時過ぎ月没まで月明かりがあります。観測条件は良好ではありませんが頑張って観察して下さい。
また、同じ4日には月と火星が接近いたします。去年12月1日に地球に最接近した火星はまだまだ大きく観望好期です。これも猪名川天文台の望遠鏡で模様など是非ご覧になってください。
12日に近日点を通過するズイーティーエフ彗星が、1月から2月にかけて北の空「かんむり座」から「こぐま座」の北極星付近を通過し、その後「きりん座」に移動する姿を確認することができます。このズイーティーエフ彗星、1月中旬には6等級、下旬には5等級となると予測されており、双眼鏡でもご覧になれるそうです。28日には「こぐま座」コカブ付近の移動となり見つけやすい条件です。是非この機会に双眼鏡で見られる彗星の観察を行ってください。
観望されるときには「防寒対策は万全」に!
(みぞかみ よしひろ)

【火星(撮影:2022年12月31日)】

【2022年12月】(第184号)

早いものでもう12月、年末を迎えます。年末の忙しい時期ですが夜空はすっきりとし、きれいな星空を楽しむことができまので、ぜひ夜空を眺める時間を作って見られてはいかがでしょう。さて宵の頃、星空を眺めますと今まで観望好期を迎えていた土星が西の空に沈みかけ、木星が南の空から西の空に移りつつあります。また、今年12月1日に最接近する火星は天頂付近の「おうし座」で輝きを増し、冬の星座「おうし座」のアピールに一役かかわっております。この「おうし座」には生まれたての若い星が集まるとても有名なプレアデス星団(M45)や超新星爆発後の残骸星雲の形がかにの姿に似ているかに星雲(M1)などが見られるとても見ごたえのある星座です。プレアデス星団は双眼鏡で、かに星雲は天体望遠鏡を利用し観望して下さい。
今月の星空ですが、前段でもお話しましたが火星が2年2ヶ月ぶりの12月1日に地球に最接近します。今年は2020年ほどの大きさにはなりませんが、猪名川天文台の大口径望遠鏡高倍率でぜひ模様などの姿をご覧ください。
12月14日深夜には三大流星群のひとつである「ふたご座流星群」が、極大となります。しかし、下弦前の月(月齢20.6)が22時には昇ってきますのでそれまでに観測して下さい。
また、下旬25日には西の空低空で金星と水星が超接近。そこに細い月(月齢1.7)も接近します。26、27日には土星に月(月齢2,7、3.7)が接近、さらに、29日には木星に月(月齢5.7)が接近する天体ショーが日没後すぐに見られます。各々の接近天体ショーをご覧になってください。観望は暖かい服装で!
(みぞかみ よしひろ)

【プレアデス星団(M45)】
撮影:小西努

【2022年11月】(第183号)

11月は、夜の時間も長く、また透明度の良い星空を見ることができます。星空に目を向けますと、先月もお話いたしました「ペガスス座」が天頂付近に移動し、「アンドロメダ座」、「カシオペア座」、「ケフェウス座」などギリシャ神話で有名な秋の星座も高度を上げてご覧になりやすくなっております。また、黄道においては、西の空から東の空、全天にかけて「土星」を皮きりに「海王星」、「木星」、「天王星」、「火星」たちの惑星の姿を見ることができます。ぜひ惑星は、猪名川天文台の大口径望遠鏡高倍率でご覧になってください。色、模様など見ごたえがありますよ。
11月の星空ですが、注目は11月8日に皆既月食。全国で見られ、大阪での皆既月食開始は19時17分、食の最大は19時59分、そして皆既食終了は20時49分となっております。さらに今回の月食はもう一つの楽しみがあります。皆既月食中の赤い月に「天王星」が隠される「惑星食」が見られます。次回は2106年11月となるそうで、超ビックな天文現象です。大阪での潜入時刻は20時30分頃で皆既中の潜入となります。出現時刻は21時20分頃で、これは部分食中での出現となります。この超ビックな天文現象、望遠鏡観察や写真撮影で記録を残されてはいかがでしょう。
また、「しし座流星群」は18日が極大となりますが、下弦過ぎの月齢23.3の月明かりがあるため観察条件はあまり良くないみたいです。夜間の冷え込みは、だんだん厳しくなってきます。防寒対策は万全に!
(みぞかみ よしひろ)

【木星(撮影:2022年10月15日)と土星(撮影:2022年10月20日)】

【2022年10月】(第182号)

夜の時間も長くなり、澄み切った夜空を見ることができる季節となりました。目を夜空に向けますと、木星、土星の巨光が特に目立ちます。惑星は望遠鏡で見る姿がとても美しく印象的でもあります。チャンスがあれば望遠鏡の高倍率でぜひご覧になってください。また、天頂より西側にはまだまだ夏の星座を見ることができますが、天頂から東側に目を移しますと、大きな「ペガスス座」の秋の四辺形や大きな銀河が見られるとして有名な「アンドロメダ座」、「さんかく座」をはじめとする秋の星座が昇ってきております。秋の夜長、ゆっくりと銀河など星空を楽しんで下さい。
さて、10月の星空ですが、10月には2つの流星群があります。ひとつは、ジャコビニ・チンナー彗星を母天体とする「10月りゅう座流星群(旧ジャコビニ流星群:2009年国際天文学連合総会で名称変更)」が10月9日極大になると予想されています。そしてもう一つは、有名なハレー彗星を母天体とする「オリオン座流星群」も21日から22日にかけて極大となると予想されております。月明かりの条件もありますが観察して下さい。
そして、10月9日の夜明け前、水星が西方最大離角となり観望が好条件となります。しかし、高度が10°程度と低空のため、見つけるのに苦労しますが双眼鏡を活用しキラキラと0等級で輝いている水星を探してください。デジカメ1~2秒固定撮影で簡単に撮れますので写真に収めて見るのも良いかもしれません。
(みぞかみ よしひろ)

【秋の星座】

【2022年9月】(第181号)

9月に入れば日没も早まり、そして、暑さも和らぎ空気も澄みスターウォッチングには絶好の気候となります。
宵の頃、天頂付近には、夏の大三角や天の川、南にはいて座など、まだ夏の星空を充分楽しむことができます。そして、東側の空では惑星たちを見つけることができます。やぎ座には美しい環の広がった「土星」を。ペガスス座の南、うお座には9月27日に衝を迎える太陽系最大の惑星「木星」や惑星で最も遠い距離にある「海王星」がご覧になれます。惑星の観望には、高倍率の観望ができる大口径望遠鏡が最適です。この機会に猪名川天文台の大口径望遠鏡で惑星をじっくりとご覧になってください。
9月の星空ですが、9月8日には「土星」と月齢12の月が、また11日には「木星」と月齢15.2の月が接近します。二つとも、惑星としてとても明るく、月も満月前から満月直後と明るいので見ごたえのある天体ショーとなること間違いなし。デジカメで写真を楽しんで下さい。
また、9月といえば中秋の名月(旧暦の8月15日)、今年は10日となります。すすきと団子をお供えしてゆっくりとお月見を楽しまれてはいかがでしょう。
(みぞかみ よしひろ)

【中秋の名月】

【2022年8月】(第180号)

今年もうだるような夏本番が到来いたしました。節電のためにも涼を求め、夏休みにはご家族と夜空の暗い場所に出かけられ、ゆっくりとスターウォッチングをされてはいかがでしょう。
宵の頃、南の空には先月お話させていただきました「さそり座」が見られますが、今月は「さそり座」の北にある「へびつかい座・へび座」を見て見ましょう。このへびつかいは、ケイローンから医術を教えてもらい名医となった“アスクレピオス”の姿で、大蛇を持っています。大きな領域を持つわりには、明るい星もないためあまり目立ちません。「へびつかい座」と「へび座」にはとても多くの球状星団が見られますが、今回はこのへびつかいがつかんでいる大蛇のしっぽ付近にあるM16(イーグル星雲)という散光星雲を紹介いたします。この星雲の中央部には象の鼻のような部分が見られます。この場所は、M42(オリオン星雲)と同様、星の赤ちゃんが生まれている場所としても有名なのです。写真でしかうまく姿を確認することができないのが残念です。
さて、8月の星空ですが、8月13日未明に「ペルセウス座流星群」が極大と予想されております。今年は満月過ぎの月が明るく夜空を照らして条件的には良くないのですが、明るい流星も多いことから辛抱強く観測して下さい。また、7月~8月にかけて「パンスターズ彗星(C/2017K2)」が「へびつかい座」から「さそり座」の頭に向けて移動しております。8月20日~25日にかけては「さそり座」の球状星団M80の西側を進みます。200㎜程度の望遠レンズがあれば1枚の画角に納まると思いますのでチャレンジして下さい。
(みぞかみ よしひろ)

【M16(イーグル星雲)】

【2022年7月】(第179号)

宵の空、西の空にはアルクトゥルス、スピカ、デネボラを結ぶ春の大三角が、東の空には、ベガ、アルタイル、デネブを結ぶ夏の大三角が昇ってきています。
そして、南の空に目を移しますと夜空に大きなさそりの姿を見つけることができます。夏を代表する星座「さそり座」です。本当、さそりの形にそっくりな星の並びには感心させられます。このさそり座の心臓部分には赤色巨星「アンタレス」が輝き、そのすぐそばにはM4球状星団も見られます。さらに肉眼では見られませんが、カメラで長時間露出をすると赤、青、黄色などアンタレス付近全体にきれいな散光星雲の広がりが見られます。とてもきれいな領域です。
7月の星空ですが、パンスターズ彗星が6月20日頃から7月30日にかけてへびつかい座を東北東から南にかけて移動します。7月13日~16日にかけてはM10、M12付近を移動します。シャッターチャンスですので写真にチャレンジして下さい。
7月10日には「さそり座」の頭部分の真ん中の星δ星(ジュバ)が月に隠される恒星食が見られます。大阪の潜入時間は22:06(高度30°)、出現時間は23:23(高度22°)です。カメラに収められてはいかがでしょう。
(みぞかみ よしひろ)

【さそり座アンタレス付近】

【2022年6月】(第178号)

6月は、入梅、夏至とスターウォッチングには不利な条件が続きますが、晴れれば最高の星空を望むことができますので、チャンスを見逃さないようにスターウォッチングを楽しんで下さい。宵の星空を眺めますと、天頂には、北斗七星からうしかい座の1等星アルクトゥルス、おとめ座の1等星スピカまでを結ぶ春の大曲線が壮大に横たわっているのが目につきます。その大曲線を境として東側にはおおぐま座、しし座、おとめ座などの春の星座が、西側にはてんびん座、ヘルクレス座、へびつかい座などの夏の星座たちが輝いております。春から夏への星座の移り変わりを楽しむことができます。
さて、6月の星空ですが、明け方の東の空では6月22日に月齢22.3の月と太陽系最大の惑星木星(-2.4等)が、23日には月齢23.3の月と2年2ヶ月ぶりに地球に接近している火星(0.5等)が、また、26日には月齢26.3の月とおうし座の「プレアデス星団」と金星(-3.9等)が接近します。5月にも月と惑星の接近がありましたが6月にも再度見られますので、見逃された方はぜひご覧になってください。
5月から6月にかけて二つのパンスターズ彗星が見られます。最初のC/2021 03彗星は、ペルセウス座から北極星付近を通過し、りゅう座に移動します。明るさは4等~8等と暗くなります。もう一つのC/2017 K2彗星は、へびつかい座の北東部からへびつかい座中央をぬけ南西に移動します。明るさは8等から9等と、お互い今回の彗星は非常に暗いため双眼鏡でのウォッチングは無理ですのでネットなどで位置を確認し、デジカメ望遠レンズ(300㎜以上は必要とのことですが)で撮影にチャレンジしてみてください。
(みぞかみ よしひろ)

【明け方の空に集合した惑星たち】
撮影:2022年5月4日

【2022年5月】(第177号)

5月は、ゴールデンウィークという長い休日があります。時間を気にせず思いっきり夜ふかしをしてスターウォッチングが楽しめます。
星空に目を向けますと、宵の頃、天頂には「おおぐま座」の北斗七星から「うしかい座」の1等星アルクトゥルス、「おとめ座」の1等星スピカまでを結ぶ春の大曲線を見つけることができます。
春の大曲線終着地点の「おとめ座」とその北側にある「かみのけ座」の境界付近には銀河が群がっている銀河群が見られます。宇宙の遠くまで見通せるこの時期、是非、猪名川天文台の大口径望遠鏡を使い、低倍率では同一視野にいくつもの銀河をご覧になれます。さらに、高倍率ではクローズアップされた個々の銀河たちの姿をご覧になれます。また、写真では少しガイドが必要ですが200㎜~300㎜程度の望遠レンズがあれば銀河団を写すことができます。チャレンジして下さい。
さて、5月の星空ですが、15日に「てんびん座」α星が月に隠される星食が(大阪:19:12潜入、20:14出現)、17日には「さそり座」δ星の星食(1:11潜入、2:16出現)が見られます。 また、5月1日には太陽系最大の惑星「木星」と「金星」が、30日には「木星」と「火星」が明け方の東の空で大接近します。早起きをしてご覧になって下さい。この惑星の撮影はガイドも必要なく三脚固定撮影でシャッター速度1~2″程度で簡単に撮影できます。チャレンジして下さい。
(みぞかみ よしひろ)

【おとめ座銀河群M86付近】
撮影:溝上好弘

【2022年4月】(第176号)

花々も咲き誇り、暖かい季節がやってきました。星見にとっては動きやすい観望の時期を迎えます。
さて、宵の頃星空に目を向けますと、天頂付近にはひしゃくの形をした北斗七星を見つけることができます。北斗七星は、おおぐま座のしっぽの部分で、北極星を見つける星としても重宝されております。このおおぐま座には北極星を見つけるだけでなく他にもたくさんの見どころがあります。まず、柄杓の柄の先端部分から南に伸びる「春の大曲線」の出発点でもあります。また、柄の先から2番目の星をよくご覧になれば小さな星が並んで見えます。これが肉眼でご覧になれる二重星「ミザール」でくっついている星が「アルコル」です。昔アラビアの兵士の視力検査にも使われ星で、視力の良い方は楽に並んだ星の見分けがつきます。一度チャレンジして下さい。
他にもおおぐま座にはたくさんの銀河を楽しむことができます。なかでもおおぐま座の頭の北には小型望遠鏡でも十分に楽しむことができる銀河M81とM82を見つけることができます。M81の方は渦巻きがとても美しく、M82の方は細長く不規則な形に見えます。倍率40倍もあれば十分に楽しめます。1200万光年先の宇宙の姿を是非ご覧なってください。
4月の星空ですが、明け方の東空で、5日には火星と土星が大接近し18日には土星、火星、金星、水星の4惑星が整列します。また、整列した4惑星に月が25日から28日にかけて土星、火星、金星、木星にそれぞれ並びます。明るく華やかな天体ショーがご覧になれます。是非観望して下さい。4月23日の午前4時ごろ「こと座流星群」が極大になると予測されています。極大時には下弦の月が昇ってきますが夜半までは好条件となります。時折明るい流星もまじりますので期待感を持って観測して下さい。
(みぞかみ よしひろ)

【M81(上)とM82(左下)】
撮影:小西努

【2022年3月】(第175号)

3月20日は春分の日。春分の日を境に夜が短くなりますのでスターウォッチングにとっては残念な季節を迎えますが、夜のきびしい冷え込みはやわらぎ動きやすくなってきます。
宵の頃、星空に目を向けますと、天頂より西には冬の星座が、東には春の星座が見られ、星座も冬から春に移り変わりつつあります。さて今回は、この時期でも観望で十分満足していただける選りすぐりの散開星団を3つご紹介させていただきます。まず始めに、天頂より西に輝く「ぎょしゃ座」の散開星団トリオ「M36、37、38」です。とても大きさのある散開星団で「ぎょしゃ座」の東側に一列に並び、暗い場所では双眼鏡でも確認ができます。小口径の望遠鏡を使えば50倍程度で星ぼしの分離した姿が見られます。次に、その東側「ふたご座」カストルの足元にある散開星団「M35」。双眼鏡でも星雲みたいな姿を十分に確認することができ、25倍程度の倍率があれば視野一面に星粒のそろったとても美しい姿がご覧になれます。そして、最後に「ふたご座」東側、「かに座」の甲羅の部分には英語でビーバイブ(蜂の巣)と呼ばれる明るく、とても大きな散開星団「M44」があります。暗い場所では肉眼でも確認でき、低倍率でも明るい星ぼしのキラキラと輝く美しい姿を充分に堪能することができます。是非この時期に楽しむことができる散開星団巡りを楽しまれてはいかがでしょう。もちろん、200㎜程度の望遠レンズがあれば十分撮影が楽しめますのでチャレンジして下さい。
さて、3月の星空ですが、3月20日朝方東の空では明けの明星「金星」が西方最大離角となり-4.4等という巨光で輝いております。そして、その南東下には1.1等の「火星」が「金星」と接近します。4°という間隔ですので、7倍程度の双眼鏡があれば同一視野に納まり、色の違いなどを楽しめます。さらに、28日には、「火星」の東南東下にある「土星」も加わり「金星」、「火星」、「土星」の3惑星が集まるという天体ショーが見られます。そこには月齢25.4新月前の細い月も見られます。朝方という早い時間帯ですがご覧になって下さい。
観望は暖かい服装で!
(みぞかみ よしひろ)

【M36】

【M37】

【M38】

【2022年2月】(第174号)

2月4日は立春。暦のうえでは春となるのですが、2月は一番寒さが厳しくスターウォッチングにとってはとても辛い時期を迎えますが防寒対策には万全の注意を払い星空を楽しんでください。
宵の頃星空に目を向けますと、冬の大三角として有名なオリオン座のベテルギウス、こいぬ座プロキオン、おおいぬ座のシリウスなどの輝きが目にとまります。中でもシリウスの輝きはバツグンで、地球から8.6光年ととても近い距離にあるということもあるのですが、-1.5等と全天で一番明るい星です。それもそのはず、表面温度は1万度と非常に高温で太陽の40倍もの光を発しているそうで、当然燃料の消費も激しく、後5億年ぐらいで使い果たしてしまうと見られています。この時期南中しており街灯の有る市街地でも簡単にみつけられますので冬の空に青白く輝くシリウスの光をご覧になってはいかがでしょう。
2月の星空ですが、2月9日明け方東の空では、いままで夕方西の空に見えていた金星が1月9日の内合を経て明け方の東の空に移動し最大光度-4.6等で輝いております。そして、右下には火星1.4等と低空左下には水星0.3等が見られます。ぜひ惑星の集合をご覧になって下さい。
また、2月15日前後には小惑星の中でも最大のケレスがおうし座プレアデス星団(M45)に接近します。ケレスは8.4等と非常に暗く望遠鏡なら確認できるのですが眼視ではどれがケレスか見分けがつかない。そこで、小惑星は日々少しづつ移動しますので、数日ごとに写真撮影を行い写真から移動しているケレスを判別して下さい。チャレンジして下さい。
観望は暖かい服装で!
(みぞかみ よしひろ)

【おおいぬ座とシリウス】

【2022年1月】(第173号)

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。猪名川天文台スタッフ一同、心から来台をお待ちしております。
1月は寒さが非常に厳しく、スターウォッチングにとってはとても辛い時期になりますが1等星を多く従えた冬の星座たちが一段と輝きを増して出迎えてくれますので寒い時期ですが、ウォッチングを堪能して下さい。
日没後西の空には、低空から水星、土星、木星の惑星たちが輝いております。水星は空が明るく確認が難しいですが、14日中旬頃にはすぐ上近くに土星がおりますので土星を目安にぜひ探してみてください。双眼鏡があれば確認しやすいと思います。
さて、1月の星空ですが、4日未明に「しぶんぎ座流星群」が極大となります。放射点はりゅう座のイオタ星の近くにあります。今年は月齢1.6の細い月がありますが、月没が18時12分頃で月明かりが無い好条件となりますので頑張って観察して下さい。
また、上記でもお話させていただきました水星が1月7日に東方最大離角を迎え、4日には西の空低空で月齢1.6の細い月と並び、5日には土星の近くを通り過ぎ、6日には大きくなった月が木星に並ぶ天体ショーが見られます。水星は10°以下と非常に低空のためできれば地平線まで開けた場所で双眼鏡を利用しご覧になって下さい。観望は暖かい服装で!
(みぞかみ よしひろ)

【水星と月の接近(2009.12.18)】

【2021年12月】(第172号)

12月、寒さは厳しいですが、夜も長くすっきりとした星空が見られます。夜空に目を向けますと、宵の頃、西の空では一段と輝いておりました土星、木星が沈み始めております。一方、東の空からはベテルギウス(オリオン座)、シリウス(おおいぬ座)、プロキオン(こいぬ座)を結ぶ1等星「冬の大三角」が昇ってきており、木星や土星に劣らない輝きを放ち存在感をアピールしています。澄み切った夜空に輝く星ぼしをゆっくりとご覧になってください。
今月の星空ですが、12月3日朝には火星がとても細い月に隠される「火星食」が東の空高度30°前後で見られます。大阪での食の始まりが8:12で食の終りが9:31となります。火星の等級が1.6等で月齢も28.2とすごく細いうえに明るく、そして望遠鏡での確認が必要となることから、位置の確認など非常に困難をきたす観察となります。是非チャレンジして下さい。
12月14日頃に三大流星群のひとつである「ふたご座流星群」が極大を迎えます。西の空には月齢9.8の月がありますが、1時53分に月没となりますのでその後がチャンスです。防寒対策を万全に観察して下さい。
12月上旬未明には「レナード彗星」が地球に接近します。光度が5~6等と予測されでおり、12月6日には「うしかい座」のアルクトゥルスの東北東側を通過しますので見つけやすいと思います。また、地球最接近後は夕方西の空に姿を移し見ることができますが、高度が10°と低いため西の空が開けている場所での観察が必要となります。デジカメでの写真撮影も試みてください。観望は暖かい服装で!
(みぞかみ よしひろ)

【冬の大三角】

【2021年11月】(第171号)

 11月は、夜の時間も長く、そして透明度の良い星空を見ることができます。宵の頃この時期、星空に目を向けますと、天頂付近には、秋の四辺形として有名な「ペガスス座」、ギリシャ神話の「ペガサス」が秋の夜空を気持ちよく飛んでいます。この秋の四辺形、秋の星座の案内役としても重宝されております。西側の辺を南に延ばすと「みずがめ座」をとおり「南のうお座」と秋の唯一の1等星「フォーマルハウト」を見つけることができます。また、東の辺を南に延ばすと「くじら座」見つけることができます。そして、四辺形の北東の星からは「ペガスス座」ではなく「アンドロメダ座」となります。「ペガスス座」には秋としては珍しい球状星団「M15」が鼻先で輝いております。秋の澄み切った夜空に輝く球状星団を猪名川天文台の大口径望遠鏡でご覧になってはいかがでしょう。ボール状の星ぼしが分離して輝く姿はとても美しく見ごたえがありますよ。
11月の星空ですが、注目は11月19日に今年2回目となる月食(今回は部分月食ですが、ほぼ皆既の状態です。)が見られます。食の最大が18時、東の空低空となりますので東の空が開けた場所での観測をお願いいたします。
11月5日には、太陽系第7惑星の「天王星」が「おひつじ座」で衝を迎えます。西の空から順番に「金星」、「土星」、「木星」、「海王星」、そして今回の「天王星」と一晩にたくさんの惑星を観察することができます。さらに11月8日には金星が月齢3.3の三日月に隠される「金星食」が起こります。大阪では食の入りが13:44分、食の出が14:26分日中となり青空の中での観測となりますが頑張って観測して下さい。11月18日頃に極大と予報されている「しし座流星群」、今年は満月前の月があり好条件とはなりませんが、明るく流れる流星も見られますので、根気よく観測して下さい。観望は暖かい服装で!
(みぞかみ よしひろ)

【球状星団M15】

撮影:溝上好弘

【2021年10月】(第170号)

夜の時間も長くなり、澄み切った夜空を見ることができる季節となりました。目を夜空に向けますと、天頂より西側にはまだまだ夏の星座を見ることができますが、天頂から東側に目を移しますと、天頂を駆け廻っている「ペガサス」の姿や「アンドロメダ座」をはじめ「ペルセウス座」、「くじら座」、「カシオペア座」などギリシャ神話「エチオペア王家の物語」でおなじみの星座が次々と昇ってきております。秋の夜長、ゆっくりと星座めぐりを楽しんで下さい。
さて、10月の星空ですが、10月には2つの流星群があります。ひとつは、ジャコビニ・チンナー彗星を母天体とする「10月りゅう座流星群(旧ジャコビニ流星群:2009年国際天文学連合総会で名称変更)」が10月9日極大になると予想されています。そしてもう一つは、有名なハレー彗星を母天体とする「オリオン座流星群」も21日に極大となると予想されております。予想外の出現になるかも知れませんので注目して下さい。10月14日には月齢8.0の月と土星が、翌日15日には月齢9.0の月と木星が南の空「やぎ座」で接近します。7倍程度の双眼鏡を活用すると、月の模様やクレータとともに接近の姿が同一視野でご覧になれます。美しい月との天体ショーを是非ご覧になってください。
そして、10月は水星が西方最大離角となり25日朝方には東の空10°と低空ですが見ごろとなります。また、11月4日には高度10°を少し下回りますが、月齢28.4の細い月のすぐ上に接近します。月が目安となりますので双眼鏡を活用しキラキラと輝いている水星を探してください。写真に収めて見て見るのも良いかもしれません。
(みぞかみ よしひろ)

【カシオペア座】

【2021年9月】(第169号)

9月に入れば、暑さも和らぎ空気も澄みスターウォッチングには絶好の気候となります。
宵の頃、星空に目を向けますと、天頂付近には夏の大三角をはじめとする夏の星空の輝きが主流となって見えるのですが、東の空には「秋の四辺形」としてもおなじみのペガスス座や、春から夏に向けて北極星を探す手助けをしていた春の星「北斗七星」に変わり、秋から冬にかけての北極星を探す「カシオペア」などが昇ってきております。星空は着実に秋への移り変わりが始まっております。
9月の星空ですが、9月といえばお月さまが1年で一番話題となる中秋の名月(旧暦の8月15日)、今年は21日となります。すすきと団子をお供えしてゆっくりとお月様をご覧になってください。
また、9月の中旬から後半にかけて。惑星たちが通る黄道で惑星と月が接近する天体ショーが見られます。まず始めに、17日には土星と月(月齢10.5)が、18日には木星と月(月齢11.5)が、20日には海王星と月(月齢13.5)が、そして24日には天王星と月(月齢17.5)が3°~5°ととても接近します。1ヶ月の間に4個の惑星との接近は珍しいです。望遠鏡や双眼鏡など活用し是非観望して下さい。もちろん肉眼でも十分楽しめますよ。
(みぞかみ よしひろ)

【中秋の名月】

【2021年8月】(第168号)

今年も夏本番が到来いたしました。8月は夏休みの季節、夏休みにはご家族と夜空の暗い場所に出かけられ、ゆっくりとスターウォッチングをされてはいかがでしょう。
夜空を眺めますと、今年はあいにくの天候で7月の七夕伝説を味わうことができませんでしたが、8月14日には旧暦の伝統的七夕があります。7月の七夕と違い、天頂付近に移動し見やすくなった彦星「アルタイル」と織り姫星「ベガ」の姿充分楽しむことができます。7月に楽しめなかった七夕を今一度楽しまれてみてはいかがでしょう。
さて、8月の星空ですが、8月13日午前4時頃に「ペルセウス座流星群」が極大と予想されております。12日~13日夜明けにかけての月齢は3.5となり、21時頃には月が沈んでしまいますので、思う存分観察が可能です。是非ご覧になって下さい。
次に南の空に目を向けますと、傾きも良く環の美しい土星が8月2日未明に、そして、太陽系最大の木星が8月20日深夜に「やぎ座」で衝を迎えます。これら2惑星は、これから観望好期を迎えますので猪名川天文台の大口径望遠鏡で是非ご覧になってください。
さらに、8月15日20時頃の月では「月面X」が見られます。観望会などのチャンスがあればご覧になってください。
(みぞかみ よしひろ)

【月面X(エックス)】
撮影:村本惠一 2021年6月8日
月の欠け際の南端から3分の1ほど北の所です。

【2021年7月】(第167号)

宵の頃、東の空には七夕伝説の主人公であること座の織り姫星ベガ、わし座の彦星アルタイルが天の川を挟んで輝いております。この七夕伝説は夏の夜空を巡るとてもロマンのある物語で、晴れた日の七夕の夜、織姫と彦星は「1年に一度だけ会える日」となっておるのですが、ところが天の川の両岸に輝く彦星と織り姫星との間の距離は、なんと約15光年もあり、光の速さで片道15年かかります。一夜のデートとしてはとても無理。やはり伝説の物語のお話ということです。でも、待ちに待った1年に一度だけのデート、晴れる日を期待し応援しましょう。
7月の星空ですが、12日の夕方、西の空では火星(1.8等)と金星(-3.9等)、細い月(月齢2.1)が集合し、13日には火星と金星が大接近します。また、25日未明には月齢14.6の月と土星(0.2等)が、27日には月齢16.6の月と木星(-2.8等)が接近する天体ショーが見られます。是非ご覧になってください。
そして、7月30日未明には、みずがめ座δ流星群が極大となります。今年は下弦の月明かりがありますが、観察して下さい。案外多く流れるかもしれません。
(みぞかみ よしひろ)

【七夕のおりひめ星とひこ星】

【2021年6月】(第166号)

6月は夏至や梅雨を迎え星空を求めるスターウォッチングについては、最悪の時期を迎えます。しかし、梅雨の晴れ間にはいがいにも透明度の良い星空に巡り合うことがありますので、チャンスを逃さないようにしてください。
宵の頃、星空を見ますと、ひしゃくの形をした北斗七星からうしかい座の1等星アルクトゥルス、おとめ座の1等星スピカまでを結ぶ壮大な春の大曲線を見つけることができます。また、日没後の空の明るさがまだ残る西の空では、宵の明星金星(-3.9等)が、その上には、火星(1.8等)が輝き、それぞれのウォッチングを楽しむことができます。
さて、6月の星空ですが、6月20日から6月26日にかけて西の空、かに座では火星が散開星団「プレセペM44」を通過する姿が見られます。双眼鏡や天体望遠鏡低倍率で美しい天体ショーが観望できます。さらに、しし座では6月8日から6月13日ごろにかけて小惑星ベスタがしし座の後ろ脚にある銀河トリオ(M65、66、NGC3628)を接近通過いたします。最も接近する11、12日にかけては望遠鏡40~50倍程度で銀河とベスタ両方が観望できます。眼視では恒星と小惑星ベスタの判別が難しいため、ベスタの位置を確認するには、600㎜程度の望遠レンズにて数日撮影(恒星は移動せず小惑星は移動するため、数日の写真撮影から移動確認をするとすぐ区別ができます。)し移動を確認してください。それぞれの接近天体ショー、是非この機会にご覧になってください。
(みぞかみ よしひろ)

【M65(下)・M66(左上)・NGC3628(右上)】

【2021年5月】(第165号)

新緑がとても美しい季節となりました。5月はゴールデンウィークなど休日が多いので、夜ふかしをしてスターウォッチングが楽しめます。
宵の頃夜空に目を向けますと、ひしゃくの形をした並びの星を見つけることができます。明るく目を引く星の星列ですので、簡単に見つけることができます。おおぐま座のしっぽにあたる「北斗七星」です。北斗七星」は重宝する星で、まずひしゃくの先端の2つの星を結んだ線を先の方向に5倍伸ばし北極星を見つけたり、また、柄の部分の星列を出発点とし、うしかい座の1等星アルクトゥルス、おとめ座の1等星スピカまでを結ぶ春の大曲線をたどることができます。さらに、「北斗七星」には、回転花火のように見える銀河(M101)や、形の整った渦巻き銀河(M81)と不規則銀河(M82)など深宇宙も楽しむことができます。この機会に猪名川天文台の大口径望遠鏡で高倍率にクローズアップした銀河、ぜひご覧になってください。宇宙の神秘が感じられますよ。
さて、5月の星空ですが、6日明け方あのハレー彗星を母天体とする“みずがめ座η星流星群”が極大を迎えます。今年は下弦後の月明りがあり好条件とはなりませんが頑張って観測して下さい。
17日、水星が東方最大離角となります。13日には水星、月(月齢1.6)、金星が日没後西の空で並ぶ天体ショーが見られます。低空となりますので視界の開けた場所で観察して下さい。
そして、26日にはスーパームーンの皆既月食が起こります。今回、大阪では欠け始めより月の出が遅く欠けた月が昇ってくる月出帯食となり、皆既月食も低空となります。東の空が開けた場所での観測をお勧めいたします。
(みぞかみ よしひろ)

【2014年10月8日の皆既月食】

【2021年4月】(第164号)

花々も咲き誇り、暖かい季節がやってきました。星見にとっては動きやすい観望の時期を迎えます。しかし、春霞・黄砂など観測の悪条件や花粉、コロナウィルスなど課題があります。細心の注意を払って観察して下さい。さて、春の星空をよく観察しますと、暖かくなったのか以外と多くの動物の姿(星座)を見つけることができます。まず、順番に北の空から見て行きましょう。まず、こぐま「こぐま座」の姿が、これは皆さんよくご存じの北極星がある星座ですね。その西側には、きりん「きりん座」が、そして、少し南に目を移しますと、そこには、冬眠から覚め、夜空をゆっくりと動いているかのようなおおぐま「おおぐま座」の姿が、その西側にはやまねこ「やまねこ座」が、「おおぐま座」の東側には2匹の猟犬「りょうけん座」が見られます。「おおぐま座」から南にくだりますと、こじし「こじし座」が、さらにこの南側には春の大空で寝そべっているしし「しし座」の姿を見つけることができます。たくさん見つけることができましたね。ぜひ、星座早見盤を活用し、春の動物星座めぐりを楽しんで下さい。
4月の星空ですが、4月17日には火星(-1.5等)と細い月(月齢5.4)が、さらに、27日には西の空で火星がふたこ座カストルの足元にある散開星団M35に接近いたします。7倍程度の双眼鏡でも楽しめますが、25倍程度の倍率があればさらに美しい天体ショーが楽しめます。この機会にぜひご覧になって下さい。
また、4月22日の未明に「こと座流星群」が極大になると予測されています。今年は月齢10.0の月があり、午前2時ごろまで月の明かりの影響を受け悪条件となりますが、時折月明かりに負けないような明るい流星もまじりますし、月没後は好条件となりますので期待感を持って観測して下さい。
(みぞかみ よしひろ)

【おおぐま座とこぐま座と北極星】

【2021年3月】(第163号)

今3月20日の春分の日を過ぎると夜が昼よりもだんだん短くなりスターウォッチングにとっては残念な季節を迎えますが、夜のきびしい冷え込みはやわらぎ、動きやすくなってきます。
今回は少し視点を変え、未明の夜空に目を向けますと、3月の上旬西の空には冬の星座「ぎょしゃ座」や「ふたご座」が西の空に沈みゆく姿が、反対に東の空では昇り終えた夏の大三角「こと座のベガ」、「はくちょう座デネブ」の1等星の輝きを見つけることができます。そして、西と東の間では「おおぐま座」、「しし座」、「おとめ座」、「うしかい座」などの春の星座が輝いており、冬、春、夏の混在する星座のウォッチングを楽しむことができます。
さて、3月の星空ですが、3月の上旬4日~7日にかけて火星が「おうし座」のプレアデス星団の南側を通過する姿が見られ、また、19日には月(月齢6.1)と火星の接近が見られます。眼視や双眼鏡で十分楽しむことができますのでぜひご覧になってください。
さらに、2月の下旬から3月の上旬にかけて、四大小惑星のひとつ「ベスタ」が「しし座」の後ろ脚、θ星「シェルタン」の東側を北に通過していきます。「ベスタ」は明るくなっても6等級のため、望遠鏡がなければ見ることができません。でも、デジカメを使い、2日ごとに同じ位置を固定撮影で5~10秒程度露出をかけて撮影すれば「ベスタ」を簡単に撮影することができます。小惑星は移動が速いので写真を見比べて移動している星が見つかればそれが「ベスタ」です。簡単に写りますので是非挑戦して下さい。
(みぞかみ よしひろ)

【おおぐま座】

【2021年2月】(第162号)

今年の立春は2月3日、例年より1日早くなります。これは124年ぶりとなるそうです。暦のうえでは春となるのですが、2月は一番寒さが厳しくスターウォッチングにとってはとても辛い時期を迎えますが防寒対策には万全の注意を払い星空を楽しんでください。星空に目を向けますと、天頂付近には冬の星座たちが美しく輝いております。冬は四季の中で1等星が一番多く見られ、全天21個の1等星の内、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、ふたご座のポルックス、オリオン座のベテルギウスとリゲル、こいぬ座プロキオン、おおいぬ座のシリウスなど7個もあります。明るく輝く1等星の星座を観望して下さい。
さらに、去年10月6日に大接近した火星が光度(最接近時:-2.6等、2月0.7等)を落としながら地球から離れゆく姿がまだ見られます。天体望遠鏡で今一度ご覧になってください。
2月の星空ですが、19日の17:40頃、月の欠け際のクレータで「X」字が浮かび上がる「月面X」が見られます。双眼鏡でも観望できますのでぜひご覧になってください。
そして、2月は見れば長生きができる星として有名なりゅうこつ座にあるカノープスを見るチャンスの月でもあります。カノープスは全天で2番目に明るい恒星で、おおいぬ座のシリウスが南中する頃、南の空低い位置に見つけることができます。しかしとても低空のため、なかなか見ることができるチャンスは少ないですが、双眼鏡を活用するなど探してみてはいかがでしょう。見ればきっと良いことがありそうです。猪名川天文台でも、カノープスを観るイベントを企画しておりますのでご参加ください。
(みぞかみ よしひろ)

【冬の一等星(カペラ、アルデバラン、ポルックス、ベテルギウス、リゲル、プロキオン、シリウス)】

【2021年1月】(第161号)

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
1月は寒さが非常に厳しく、スターウォッチングにとってはとても辛い時期になりますが、すっきりとした夜空には1等星を多く従えた冬の星座たちが一段と輝きを増して出迎えてくれます。防寒対策を整え観望して下さい。
日没後西の空では、昨年12月21日に397年ぶりの木星と土星の超接近が起こりましたが、その後、木星と土星の位置が入れ替わり間隔が少しづつ離れていっております。次回2080年3月まで超接近は見られないそうです。離れゆく木星と土星の姿をご覧になって下さい。
さて、1月の星空ですが、4日未明に「しぶんぎ座流星群」が極大となります。放射点はりゅう座のイオタ星の近くにあります。今年は月齢19.4の月明かりがあり、あまり観測条件としては良くないのですが頑張って観察して下さい。
また、1月には二つの天体ショーが見られます。一つ目、8日から12日にかけての夕方西の空低空で、前段でお話いたしました木星と土星に水星が参加する三惑星の接近ショーが見られます。12日になると水星が木星・土星よりも高度が高くなります。木星と土星が水星確認の道しるべとなります。そして、観察は非常に低空となりますので、できれば地平線まで開けた場所で双眼鏡を利用しご覧になって下さい。
二つ目は、21日に上弦の月と火星の接近ショーが見られます。是非この機会に惑星たちの集合をご覧になって下さい。
(みぞかみ よしひろ)

【2020年12月21日の木星・土星の超接近】

撮影:溝上好弘 2020年12月21日

【2020年12月】(第160号)

12月、寒さは厳しいですが、夜も長くすっきりとした星空が見られます。宵の頃夜空に目を向けますと、天頂付近に何かごちゃごちゃと星の集まりを見つけることができます。冬の星座「おうし座」にある散開星団「プレアデス星団」で和名では「すばる」と親しまれております。ハワイのマウナケア山頂にある8mの望遠鏡の愛称が「すばる」で有ることはとても有名です。このプレアデス星団にはギリシャ神話の7人姉妹の名前が付けられており、その姉妹の6~7個の星ぼしは普通の視力があれば十分に数えることができますが、双眼鏡を使うとさらに星団の星の数が増し、とても美しくすばらしい光景を目にすることができます。低倍率で初心者にも十分楽しむことができる星団ですので、是非ご覧になってください。
さて、今月の星空ですが、今年の12月は、木星と土星が各々の公転周期の関係から20年ごとに接近する会合周期の年にあたっているのですが、さらに今回は、木星と土星の軌道傾斜角(地球軌道に対する軌道の傾き)の関係でお互いの軌道が交差している付近での会合となることから超接近となるそうです。12月21日(間隔0.11度)、22日(間隔0.12度)となり、過去今回と同様0.1度まで超接近したのは1623年7月17日で397年前まで遡るそうです。天体望遠鏡200倍の高倍率で見ても同一視野で楽しめるそうです。そして、こんな超接近はこの先巡り合えることはできません。ぜひ、この天体ショーをお楽しみになってください。
また、12月14日に三大流星群のひとつである「ふたご座流星群」が極大を迎えます。今年は、新月前ということから月明かりの影響を受けない観測好条件となりますので頑張って観測して下さい。
観望は暖かい服装で!
(みぞかみ よしひろ)

【プレアデス星団(すばる)】

撮影:小西努 2019年11月23日

【2020年11月】(第159号)

11月は、夜の時間も長く、また透明度の良い星空を見ることができます。星空に目を向けますと、「カシオペア座」と「はくちょう座」1等星デネブの間に先のとがった三角屋根の家の形をした星座を見つけることができます。ギリシャ神話「エチオペア王家の物語」のエチオペア国王「ケフェウス座」です。神話と同様明るい星もなく目立つこともなくひっそりと輝いておりますが、でもこの星座には、他の「エチオペア王家の物語」にまつわる星座には無い宝石のように輝く星があります。それは「ガーネットスター」と呼ばれ、望遠鏡で覗くと、ざくろのように赤く輝き、まるで宝石の輝きのようでとても美しいです。是非ご覧ください。(双眼鏡でも色や輝きは十分楽しめますよ。)
11月の星空ですが、10月6日に準接近をした「火星」が少しずつ地球から離れていきますが、まだまだ、視直径は大きく模様なども見やすい状態が続いております。是非離れる前にご覧になってください。
「くじら座」の変更星「ミラ」は膨張と収縮を繰り返し、約332日周期で2等級~10等級までの幅で明るさが変わる変更星で、10月の上旬に約11か月ぶりに極大光度を迎えたそうですが、極大時も大きくずれることがあるため、もしかすると今後明るくなるかは?。楽しみです。今年は9月の下旬に肉眼で確認されたとのことですので期待が膨らみます。
また、「しし座流星群」は17日が極大となり、月齢が1.9で月が宵に沈みますので月明かりのない星空で流星群が楽しめます。
夜の冷え込みが増します。観望されるときには「防寒対策は万全」に!
(みぞかみ よしひろ)

【カシオペア座・ケフェウス座・はくちょう座】

【2020年10月】(第158号)

夜の時間も長くなり、さらに秋の澄み切った夜空を見ることができる季節となりました。しかし、秋の星空は明るい星もなく少しさびしささえ感じられますが、今年は2年2ヶ月ごとに接近する火星が10月6日地球に最接近します。2018年7月の大接近(5759万㎞)には及びませんが、準大接近(6207万㎞)となります。準大接近ですので、観望会など望遠鏡をのぞく機会があれば、ぜひ火星のいろいろな模様を堪能できますので注目してみてはいかがでしょう。
さて、10月の星空ですが、10月1日は旧暦8月15日の中秋の名月となります。満月の1日前ですが時間を見つけてゆっくりと名月をご覧になってはいかがでしょう。さらに、今月は10月31日にも満月となり、秋の満月を2度楽しむことができます。
また、10月には2つの流星群があります。ひとつは、ジャコビニ・チンナー彗星を母天体とする「10月りゅう座流星群(旧ジャコビニ流星群:2009年国際天文学連合総会で名称変更)」が10月8日極大になると予想されています。そしてもう一つは、皆さんも一度は耳にしたこともある有名なハレー彗星を母天体とする「オリオン座流星群」も21日に極大となると予想されております。特に「りゅう座流星群」は下弦前の月明かりがありますので影響を考え観察して下さい。
夜の冷え込みが増します。観望されるときには「防寒対策は万全」に!
(みぞかみ よしひろ)

【2003年の大接近時の火星の姿】

【2020年9月】(第157号)

9月に入れば、暑さも和らぎ空気も澄みスターウォッチングには絶好の気候となります。
宵の頃、南の空に目を向けますと太陽系最大の惑星「木星」の巨光と、そのすぐ東には最高に美しい環を持つ「土星」を簡単に見つけることができます。そして、東の空には今年10月6日に最接近する「火星」が昇ってきております。今年は、約6207万キロメートルまで地球に接近します。2018年の5759万㎞の大接近には及びませんが、相当の接近となります。注目して下さい。
星空に注目しますと、天頂付近には夏の大三角が輝いておりますが、東の空に目を向けますと、ペガスス座の「秋の四辺形」を見つけることができ、そろそろ星空も秋への移り変わりが始まっております。
9月の星空ですが、9月6日の深夜には赤い輝きを増した「火星」が東南東の空で月齢18.5の月と接近します。また、25日の宵の空南の空でも「木星」、「土星」と月齢8.0の月が接近します。7倍双眼鏡で月のクレーターと併せてご覧になって下さい。もしかすると、木星のガリレオ衛星も見つけることができるかも?挑戦しましょう!
毎年、お月さまが話題となる中秋の名月(旧暦の8月15日)ですが、今年は9月ではなく10月1日となります。
(みぞかみ よしひろ)

【天の川と木星(下の明るい星)と土星(木星の左上)】

【2020年8月】(第156号)

8月は夏休みの季節、夏休みにはご家族と夜空の暗い場所に出かけられ、ゆっくりとスターウォッチングをされてはいかがでしょう。
今年は、コロナウィルスの関係で各地で開催されている夏の星空観望会も中止となるケースも多く、観望好期である木星・土星・火星などの惑星を天体望遠鏡で見るチャンスも少なくなるという状況が考えられます。そこで、望遠鏡を使わず夏の星空を眼視でウォッチングされてはいかがでしょう。天頂付近には、旧暦の七夕(8月25日)彦星と織り姫星が天空に広がる天の川を挟んで見ることができます。さらに、南に目を向けますと、大きく流れこむ天の川を挟み、夏の代表星座である「さそり座」や「いて座」を楽しむことができ、その「いて座」の東側には木星の巨光が輝き、そのそばには少し暗いですが土星が輝いております。明るいですので簡単に見つけることができます。そして、ずーと東に目を移しますと、「うお座」には10月6日最接近となる赤く輝く火星も楽しむことができます。星座早見盤を活用し、自分の目でスターウォッチングを楽しんで下さい。
さて、8月の星空ですが、8月10日未明に東南東の空で、先ほどおしらせいたしました-1.3等の火星が月齢19.9の月と接近します。7倍程度の双眼鏡を活用すると眼視とは違った月の形(海などの区別などがはっきりします。)と火星が楽しめます。また、8月13日の朝方の東の空では明けの明星金星が西方最大離角となり、16日には-4.3等の金星と月齢26.1の細い月が接近します。金星の輝きは圧巻でとてもきれいです。是非ご覧になってください。
8月12の深夜に「ペルセウス座流星群」が極大となります。今年は、月齢22.9の下弦の月が夜半ごろに昇ってきますのでそれまでに観察して下さい。
(みぞかみ よしひろ)

【おりひめ星(左上)と ひこ星(右上)と間を流れる天の川】

【2020年7月】(第155号)

宵の空、うしかい座の1等星アルクトゥルス、おとめ座の1等星スピカ、しし座の2等星デネボラを結ぶ春の大三角は西の空へ移り、かわって東の空には、こと座の1等星ベガ、わし座の1等星アルタイル、はくちょう座の1等星デネブを結ぶ夏の大三角が天の川をまたいで昇ってきています。そして、その両三角を結ぶ中央天頂付近には、夏を代表する星座ヘルクレス座を見つけることができます。このヘルクレス座にはボール状に星が集まっている大型球状星団「M13」が見られ、キラキラと輝く星の群れる姿は一押しでとても美しいです。機会があれば大口径の望遠鏡でご覧になってください。
7月の星空ですが、南の空には7月14日には木星が21日には土星がいて座で衝となり二大惑星が観望好期を迎えます。ぜひ、望遠鏡で木星の縞模様や土星の開いた環をじっくり観察なさってください。また、7月23日の朝方、東北東の低空で水星が西方最大離角を迎え、観望のチャンスとなります。双眼鏡を活用して明け方の空を根気よく探してください。難易度は高いですが、見つかれば最高の満足感が得られること間違いなしです。
7月17日未明の東の空では、おうし座の1等星アルデバランとヒヤデス星団付近に金星と月齢25.5の細い月が接近する天体ショーが見られます。デジカメで撮影されても楽しいですよ。
(みぞかみ よしひろ)

【球状星団 M13】

【2020年6月】(第154号)

6月は、21日が夏至となり1年中で夜が最も短く、そして、中旬には梅雨入りというスターウォッチングにとっては残念な季節となります。しかし、梅雨の晴れ間などには以外にも透明度の良い美しい星空を見ることができますのでチャンスを逃さないようにウォッチングしてください。
宵の頃、星空を見ますと、ひしゃくの形をした北斗七星からうしかい座の1等星アルクトゥルス、おとめ座の1等星スピカまでを結ぶ春の大曲線や、アルクトゥルス、スピカ、そして、しし座のしっぽの部分の2等星デネボラを結ぶ春の大三角を見つけることができます。これらの星座も併せてウォッチングなさってください。
さて、6月の星空ですが、6月9日の未明には南中する木星(-2.6等)、土星(0.3等)と月(月齢17.0)が接近し、13日には火星(-0.2等)と月(月齢21.0)が並ぶなどの天体ショーが見られます。
また、6月21日の夕方西の空では、夏至の太陽の一部が欠ける部分日食が見られます。大阪の食の始めは16:06、高度35.6°、食最大17:10、高度22.8°、食の終り18:07、高度11.7、最大食分0.537となっておりますのでぜひご覧になってください。(直接太陽を観察すると目を傷めたり、失明する危険性があります。必ず、日食グラスを使用するなど安全対策を取ってください。)
(みぞかみ よしひろ)


【2010年1月15日の部分日食】

【2020年5月】(第153号)

5月はゴールデンウィークなど休日が多いので、夜ふかしをしてスターウォッチングが楽しめます。
宵の頃、天頂を見上げますと、ひしゃくの形をした北斗七星が目を引きます。 この北斗七星おおぐま座とりょうけん座の境界付近、北斗七星一番柄の星のすぐ南側には大きな銀河と小さな銀河が仲良く手をつないでいるように見える大型銀河「子持ち銀河」が見られます。 とても特徴のある銀河ですので、ぜひ天体望遠鏡でウォッチングして下さい。
さて、5月の星空ですが、6日にはあのハレー彗星を母天体とする“みずがめ座η星流星群”が極大を迎えます。 今年は月齢13満月前の月明かりがあり、条件としては決して良くないですが夜明け前の南東の空、頑張って観測して下さい
5月22日の夕方西の空低空では-4.2等の金星と-0.6等の水星が大接近します。 水星を単独でみつけることは難しいですが、今回は金星のすぐ左側に輝いていますので双眼鏡で簡単にご覧になることができます。 24日には月齢1.7の細い月が金星の横に加わり、水星を含め三角形に並びます。双眼鏡、望遠鏡を活用し観察して下さい。 さらに、未明の南の空では、木星、土星そして火星も輝いておりますのでご覧になって下さい。
また、今年の4月から6月にかけてパンスターズ彗星がきりん座からおおぐま座へ移動しております。 地球との最接近は5月27日になり、光度は8等台と予想されております。 23日前後にはM81・82銀河に接近し、絶好の天体写真のシャッターチャンスとなります。ぜひチャレンジして下さい。
コロナウィルス対策は万全にウォッチングして下さい!
(みぞかみ よしひろ)

【子持ち銀河 M51】