(第191号)
Bode’s Galaxy

読み:ボーデズ ギャラクシー
意味:ボーデの銀河、おおぐま座の銀河M81の愛称

ようやっと寒さも緩み、春を感じるようになりました。筆者は夜星を見るのは好きなのですが、寒いのは苦手ですので、本当にうれしいです。夜空でも、オリオン座が西に傾いて、三ツ星が横一列に並んでいるのを見ると、ああまたこの季節になったなあとしみじみします。暖かくなってきたとはいえ、まだまだ夜は相当に寒いですので、防寒対策はしっかりと、ですね。
さて、今回の英語は「Bode’s Galaxy(読み:ボーデズ ギャラクシー)=ボーデの銀河」です。“ボーデ”とは、“ヨハン エレルト ボーデ=Johann Elert Bode”さんというドイツの天文学者のお名前で、この方が1774年に最初に発見した銀河なので、このような愛称が付いています。
「Messier Catalog(読み:メシエ カタログ)」では81番目に登場する銀河で、場所はおおぐま座の頭のあたり、北斗七星のマスの先の方で、冬の星座から春の星座へと移り変わる中でも春一番に上がってくる 銀河です。Bode’s Galaxyは明るくて大きくて見ごたえのある銀河なのですが、なんといってもその特徴は“かっこいい”こと。見える角度といい、膨らみ具合といい、渦の雰囲気といい、バランスがピカイチなのです(筆者の個人的見解です笑)。
猪名川天文台では、4月4日~7日にかけて、「子持ち星雲M51とボーデの銀河M81を観よう」と題して観望会を開催します。春は銀河を観望するのに絶好の季節。この機会に、猪名川天文台の大望遠鏡で、かっこいいBode’s Galaxyの姿をぜひご覧ください!

(まるちゃん)

【 Bode’s Galaxy(M81)

(第190号)
Southern Sky

読み:サザン スカイ
意味:南の空、南天

こんにちは、2月、一年で最も寒い季節ですね。猪名川天文台への道も雪で通行止めになったり、ご来訪いただくみなさまにはご不便をおかけしております。安全には十分にお気をつけて、お越しください。もちろん、夜もめっちゃ寒いですので、最大級の防寒対策でお願いいたします!
さて、今回の英語は「Southern Sky(読み:サザン スカイ)=南天」。直訳すれば“南の空”、夜空のことを指す場合は“南天”と言ったりします。日本は地球の北半球にあるので、ずーっと南にある星は日本からは見えないのですが、それでもSouthern Skyが開けて見晴らしのよい場所では、南の地平線ギリギリに、普段見えない南天の星が見えたりします。そんな星の1つが、全天で二番目に明るい星「Canopus(読み:カノウプス)=カノープス」です。Canopusは中国では「南極老人星」と呼ばれていて、一目見れば寿命が延びると言われるとても縁起の良い星です。そんなありがたい星が、この季節、条件さえよければ猪名川天文台からも見えるんです!
猪名川天文台では、2月29日~3月3日にかけて、「カノープスチャレンジ!(カノープスを観よう)」と題して観望会を開催します。1年のうちこの時期にだけ見える、ありがたーい長寿の星を、眺望抜群の大野山のてっぺんからぜひご覧ください!
(まるちゃん)

【 Canopus in the Southern Sky(南天のカノープス)

(第189号)
SLIM

読み:スリム
意味:JAXAの無人探査機

ちょっと遅くなりましたが、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。おかげさまで、2008年1月に始まった本コーナーも、16年目を迎えることができました。本当にありがとうございます。これからも、星にまつわるホット?な英語をお届けできればと思っております。
今年は、年明けから星にまつわる大きなプロジェクトが佳境を迎えました。それが、今年最初の英語「SLIM(読み:スリム)」の月面着陸です!「SLIM」は「Smart Lander for Investigating Moon(読み:スマート ランダー フォー インヴェスティゲイティング ムーン)」の頭文字を取った略で、直訳すると「月を探査するための小型着陸機」といった感じでしょうか。この記事を書いている本日未明に、「JAXA(読み:ジャクサ)=宇宙航空研究開発機構」から「ソフトランディング成功」の発表があり、筆者も「やった!」と興奮していたところでした。太陽電池が発電していないなど心配な情報もありますが、日本で初めて、世界でも5か国目の月面着陸成功なんて、本当にすごいです!普段なにげなく眺めている月に、日本の探査機が着陸しているのかと思うと、なんだかワクワクしてきますよね。
猪名川天文台では、2024年も様々な星にまつわる観望会を企画して、みなさまをお待ちしております。大野山のてっぺんに広がる星の世界へ、ぜひお越しください!
(まるちゃん)

【 SLIM landing site (SLIMの着陸地点)

(第188号)
Rigel

読み:ライジェル
意味:リゲル(オリオン座β星)

いよいよ12月、今年も残すところあとわずかになりました。毎年あっという間ですね。夜空も、あっという間に冬の星々が昇るようになり、早い時間からにぎやかになってきました。今年は暖冬傾向との予報のようですが、とはいえ冬の星見はとっても寒い!ですので、防寒対策はいつも通りにしっかりと、ですね。
今年最後の星にまつわる英語は、やっぱりこの時期になると目を引くあの星座、「Orion(読み:オライオン)=オリオン座」に輝く一等星「Rigel(読み:ライジェル)」です。オリオン座といえば、3つ並んだ二等星“三ツ星”がとても目立ちますので、まずはこれを目印に探すと見つけ易いです。この三ツ星の右下あたりに青白く輝く明るい星がRigelです。ちなみに三ツ星の左上あたりに赤く輝くのがα星「Betelgeuse(読み:ベテルジュース)=ベテルギウス」で、三ツ星を挟んで、Betelgeuseの“赤”とRigelの“白”がとてもきれいなペアになっています。昔の人が、これらの星を源平合戦の旗色に見立てて“Rigel=源氏”“Betelgeuse=平家星”と呼んだのも、とても納得してしまう綺麗な光景です。
猪名川天文台では、12月28日に「木星とベテルギウスを観よう!」と題して観望会を開催します。冬の星空といえば真っ先に目に入るOrion。ぜひこの機会に、猪名川の夜空から、RigelとBetelgeuseの源平の競演をご覧ください。ではみなさま、良いお年を!

(まるちゃん)

【 Orion(オリオン座)

(第187号)
Belt

読み:ベルト
意味:ベルト、木星の縞

先月も「いつまでも暑い…」と書いた気がしましたが、今年は本当に暖かい日が続いた秋になりましたね。ふと気が付けばもう11月、あっという間に晩秋です。夜空の星はそんなことはお構いなしに秋真っただ中ですが、先月ご紹介した「Saturrn(読み:サターン)=土星」に加えて、東南の空に煌々と輝く「Jupiter(読み:ジュピター)=木星」が、異様に目立っています。
今回の星にまつわる英語は、そんなJupiterの特徴のひとつ、「Belt(読み:ベルト)=縞」模様です。Jupiterは直径が地球の10倍もあり、太陽系の中で最大の惑星だけあって、小さい望遠鏡でも表面の模様を観察することができます。筆者も昔、初めて直径6㎝の屈折望遠鏡でJupiterを見た時、表面に2本の茶色の“縞=Belt”が見えて大興奮したのを思い出します。これは、“北赤道縞”と“南赤道縞”と呼ばれる2本の太いBeltで、他の細いBeltやより明るく見える「Zone(読み:ゾーン)=帯」と一緒にJupiterの縞々模様を作っています。
Jupiterの表面は、写真で見るととても複雑な色合いで興味深いのですが、望遠鏡で見る生の姿は、また別次元の素晴らしさがあります。猪名川天文台では、11~12月にかけて木星を観望する会を続々と開催します。ぜひこの機会に、猪名川天文台の大望遠鏡でJupiterの縞々模様を、生の光でご覧ください!

(まるちゃん)

【 Sturn(土星)

(第186号)
Saturn

読み:サターン
意味:土星、サトゥルヌス(ローマ神話の農耕神)

いつまでも暑い夏がようやく終わり、10月になりました。これまであまりに暑かっただけに、朝晩が急に寒くなったように感じます。夜の星見も、身体が凍えないように気を付けないとですね。
さて、今回の星にまつわる英語は、「Saturn(読み:サターン)」、いわずと知れた「Solar System(読み:ソーラー システム)=太陽系」の第6惑星、土星です。サターンといえば、日本でもいろんなキャラクターの名称に使われたり、とてもメジャーな英語ですね。星にまつわるSaturnも、「Ring(読み:リング)=輪」を持つ惑星としてとても有名です。実際にも、Solar System内で第5惑星「Jupiter(読み:ジュピター)=木星」に次いで2番目に大きな巨大な惑星です。明るいので肉眼でもすぐに見つけられますが、望遠鏡で見てみると、本当にRingが周りにあるんだなあ、とその不思議な姿に見とれてしまいます。
秋は明るい星が少ない季節ですが、今年の秋の夜空は、明るいSaturnが存在感を発揮しています。猪名川天文台では、10~11月にかけて土星を観望する会を相次いで開催しますので、ぜひこの機会に、猪名川天文台の大望遠鏡で、Saturnの姿を堪能してください!

(まるちゃん)

【 Sturn(土星)

(第185号)
Deneb

読み:デネブ
意味:はくちょう座α星

真夏の8月が終わり、9月になります。以前は9月といえば秋の始まりのイメージでしたが、最近ではあんまりにも暑くて、9月もずっと夏が続いているような気分ですね。確かに、夕方の星空を見ると、「Summer Triangle(読み:サマー トライアングル)=夏の大三角」は頭上高くにありますし、夏と変わらないといえば変わらないのですが、、少しずつ、秋に変わっていくことを期待しつつ、夕空を見上げているこの頃です。
さて、今回の星にまつわる英語は、「Deneb(読み:デネブ)」、夏を代表する星座の1つ「Cygnus(読み:シグナス)=はくちょう座」のα星です。はくちょう座といえば、夏の「Milky Way(読み:ミルキィ ウェイ)=天の川」の真っ只中にあり、DenebはMilky Wayの中に浮かぶはくちょうの尾っぽのところで白く輝いています。過去にこのコーナーでご紹介したこと座の「Vega(読み:ベガ)」、わし座の「Altair(読み:アルタイァ)=アルタイル」と共にSummer Triangleの一角を占めていて、3つの中では一番暗い星なのですが、実はこれはDenebが地球から非常に遠くにあるためで、VegaやAltairに比べるとずーっと大きくて明るい星です。
夏休みは終わりましたが、夜空はまだまだ夏真っ盛り!夜空のてっぺんに輝くDenebとSummer Triangleを、ぜひ大野山のてっぺんの猪名川天文台から眺めてみてください!

(まるちゃん)

【 Summer Triangle (Deneb and Vega and Altair) 】
(夏の大三角(デネブとベガとアルタイル)

(第184号)
Teapot

読み:ティーポット
意味:急須、いて座の星のならびの愛称

つい一ヶ月前「じめじめした梅雨が、、」と書いていたのがうそのように、梅雨明けしたとたんに真夏のかんかん照り(最近あまり聞かない表現ですね笑汗)が続いています。大雨も困りますが、あんまり暑過ぎるのも困ったものですね。代わりに、夜に外に出て星を眺めるのには、夕涼みがてらちょうど良い季節になりました。筆者も、冷たい飲み物を片手に、ベランダから星を眺めるのはちょっとホッとする瞬間です。
さて、今回の星にまつわる英語は、「Teapot(読み:ティーポット)」、日本語に訳すと「急須(きゅうす)」ですが、西洋風には紅茶とかが入っている白いポットのイメージでしょうか。実は、夏の夜空には、このTeapotが浮かんでいます。場所は「Sagittarius(読み:サジタリアス)=いて座」。海外の星座図を見ると、Sagittariusがほぼ丸ごとTeapotの形に結ばれているのをよく見かけます。自分は日本の本を見て育ったので、Sagittariusといえばもっと射手っぽい星の結び方だったような気がするのですが、手元にあるOxfordの「Dictionary of Astronomy」にも「Teapot」は「An asterism in the constellation Sagittarius(=いて座の中にある星の並び)」と出てくるので、海外ではよく知られている愛称のようです。
8月といえば夏休み!猪名川天文台では8月も様々な観望会を企画してみなさまをお待ちしております。ぜひ大野山のてっぺんで、猪名川の夜空を見上げながら、夏の夕涼みをお楽しみください!

(まるちゃん)

【Teapot is An asterism in the constellation Sagittarius
(ティーポット=いて座の中にある星の並び)

(第183号)
Altair

読み:アルタイァ
意味:アルタイル、わし座α星

じめじめした梅雨の季節が続いています。星を見上げる代わりに、今日は仕事の帰り道で、遠い西の空で稲妻がピカピカ光っているのを見ました。筆者の住む成田は晴れていたのですが、きっとあの雷の下では大雨になってるかも?と思うとちょっと怖くなります。早く梅雨が明けないかなと待ち遠しい気分です。
さて、今回の星にまつわる英語は、夏の夜空に輝く1等星、わし座α星の「Altair(読み:アルタイァ)=アルタイル」です。夏の夜空の目印といえば、「Summer Triangle(読み:サマー トライアングル)=夏の大三角」が有名ですが、Altairはこの三角形の南端、一番尖った頂点にある星ですので、見つけるのは比較的簡単かなと思います。でも、このAltair、なんといっても日本で特別なのは、1年に一度、七夕の日にめぐり合う織姫と彦星の「彦星」であることですね。この記事を書いているのは7月4日ですが、果たして今年の七夕は晴れるでしょうか・・・
猪名川天文台では、7月6-9日に「おりひめ星とひこ星を観よう!」と題して観望会を開催します。でも、自分も大人になってしみじみ思いますが、七夕の頃ってまだ梅雨明け前で、星が見えることの方が少ないような・・・ちょっとかわいそうなので、この観望会にかかわらず夏の間は、ぜひ猪名川の夜空から、天の川をはさんで見つめ合うおりひめ星(こと座α星ベガ)とひこ星(Altair)に注目してあげてください!

(まるちゃん)

【Altair and Aquila (アルタイルとわし座)

(第182号)
Twilight

読み:トワイライト
意味:夕暮れ

気持ちの良いお天気だった5月があっという間に終わり、今年も梅雨の季節が到来しました。台風の動きともあいまって激しく雨が降ったりして、出だしから心配になります。星が見えますようにとまでは言いませんが、いくら梅雨といっても、雨もほどほどにして欲しいものです。
さて、今回の星にまつわる英語は、日本でも、カタカナ英語で色々なところで聞かれる「Twilight(読み:トワイライト)=夕暮れ」です。筆者が青春時代に聞いていた歌謡曲(J-POPという単語もなかった時代です汗)のタイトルにもなっていました。筆者が大好きな英単語の1つで、その響きだけで夕暮れの景色が想像できそうです。最近、そのTwilightに、とても明るい星が1つ、このコーナーでも何度も出てきた「Venus(読み:ヴィーナス)=金星」が輝いています。別名「Evening Star(読み:イヴニング スター)」と呼ばれるのも納得の存在感です。
猪名川天文台では、6月いっぱい「金星と子持ち銀河M51・ソンブレロ銀河M104を観よう!」「金星と球状星団M13を観よう!」「金星と月のクレーターを観よう!」「火星と金星を観よう!」と題して、相次いでVenusの観望会を開催します。ぜひこの機会に、猪名川のTwilightに美しく映えるVenusをご堪能ください!

(まるちゃん)

【Evening Star(宵の明星)

(第181号)
Exposure

読み:エキスポウジャア
意味:露出

5月になりました。一年中で、一番気持ちの良い季節だなと毎年思います。寒すぎず、暑すぎず、湿気も少なく、山々の新緑の色はまぶしく、、と挙げだしたらきりがないくらいです。この季節にゴールデンウィークがあるのは、本当によくできているなあと感心してしまいます。
さて、今回の星にまつわる英語は「Exposure (読み:エキスポウジャア)=露出」、カメラや写真に必須の用語です。
「Object (読み:オブジェクト)=被写体」の「 Light (読み:ライト)=光」が、カメラレンズ>絞り>シャッターを通して「Image Sensor (読み:イメィジ センサー)=撮像素子」に当たって記録される、のがデジタルカメラのしくみですが、ここで Light の Image Sensor への当たり具合が「Exposure」になります。特に、天体のような暗い Object を撮影する時には、この Exposure が大切になってくる訳です。
猪名川天文台では、5 月 20 日に「天体写真教室」を開催します。毎回好評をいただいているこの企画、お手持ちのデジタルカメラで実際に星空の撮影を体験していただけますので、ぜひこの機会にご参加ください。お手持ちのカメラをご持参いただく場合には、15秒以上露出= Exposure できるカメラをご用意いただければ完璧です!

(まるちゃん)

【Orion Nebula with different exposure times
露出時間の違によるオリオン星雲の写り方の比較

(第180号)
Face-on Galaxy

読み:フェイス オン ギャラクシー
意味:銀河円盤の正面が見えている銀河

4月です。すっかり日中は暖かくなり、桜の花も満開を過ぎて、だんだん散り始めてきました。曇りや雨の日も多いですが、晴れた夜には散歩がてら夜桜と星を楽しむチャンス、このシーズンだけの楽しみですね。
さて、今回の星にまつわる英語は、「Face-on Galaxy(読み:フェイス オン ギャラクシー)=銀河円盤の正面が見えている銀河」です。分かりにくい・・・ですよね?筆者も書いた後で、説明するのがとても難しいことに気が付きました。。。宇宙には色んな形のGalaxyがありますが、「Spiral Galaxy(読み:スパイラル ギャラクシー)=渦巻き銀河」のような平らな円盤のような形をしているGalaxyでは、円盤を横から見ているものは「Edge-on Galaxy(読み:エッジ オン ギャラクシー)」、円盤を正面から見ているものは「Face-on Galaxy」と呼ばれています。丸いお皿を横からみるとEdge-on、上から見るとFace-on、と想像すると分かり易いでしょうか。お皿を真上から見るとお皿の模様がよく見えるように、Face-on Galaxyは銀河の構造がよく見える、という訳です。
猪名川天文台では4月13~16日に「火星と金星と子持ち銀河を観よう!」と題して観望会を開催します。子持ち銀河は、りょうけん座にある明るく大きなSpiral Galaxyで、Face-on Galaxyの代表格。銀河の渦巻きの様子を観望するにはうってつけの天体ですので、この機会にぜひ猪名川天文台の大望遠鏡でご堪能下さい!

(まるちゃん)

【Face-on Galaxy:M51(子持ち銀河)

(第179号)
Second Brightest Object

読み:セカンド ブライテスト オブジェクト
意味:二番目に明るい天体

だんだんと暖かい日が増えてきました。もうすぐ春かと期待が膨らみますね。今年は桜の開花も早いとのこと、贅沢に夜桜と星を両方楽しむのもアリかもしれません。筆者の住む成田には飛行機を眺めるのに絶好の展望台があって、桜の名所にもなっていますので、夜に桜と星と飛行機を見に行ってみたいとひそかに計画しているところです。もちろん、「防寒対策は万全に!」
さて、今回の星にまつわる英語は、「Second brightest object(読み:セカンド ブライテスト オブジェクト)=二番目に明るい天体」ですが、これに「in the night sky(読み:イン ザ ナイト スカイ)=夜に」をつけると、、、「Venus(読み:ヴィーナス)=金星」になります。地球から夜に見える最も明るい天体は、もちろん「Moon(読み:ムーン)=月」。その次に明るいのは、宵の明星/明けの明星でお馴染みのVenus=Second brightest object、という訳です。ただいまVenusは、「Evening Star(読み:イヴニング スター)=宵の明星」として、毎日夕方の空を明るく照らしてくれています。
猪名川天文台では、3月23~26日に「火星と金星と細い月を観よう!」、3月30日~4月2日に「火星と金星と月のクレータを観よう!」と題して、観望会を開催します。地球の夜を照らす一番明るい「Moon」と二番目に明るい「Venus」を、ぜひ猪名川の夜空からご覧下さい!

(まるちゃん)

【Second Brightest Object:Venus(金星)
(月と金星の接近 2020年12月13日撮影)

(第178号)
Binary Star

読み:バイナリィ スター
意味:連星

寒い日が続いています。外に出て星を見るのが最もおっくうな季節ですね。せっかく明るい星々で夜空がにぎやかなこのシーズンが、もっと暖かかったらいいのに、とたまに思いますが、そんな方には夏に早起きして見るという手もありますね。自分は朝が苦手なのですが・・・汗
さて、今回の星にまつわる英語は、「Binary Star(読み:バイナリィ スター)=連星」です。”Binary”は”2つの”という意味で、直訳すると”2つの星”。以前このコーナーでご紹介した「Double Star(読み:ダブル スター)=二重星」と似ていますね。多くの場合、Double Starは”見かけ上並んで見える”星なのに対し、Binary Starは”お互いに重力で引っ張り合って回っている”星を指します。
Double Starの代表的な例としては、おおぐま座の「Mizar(読み:マイザー)=ミザール」と「Alcor(読み:アルコー)=アルコル」などがあります。地球から見るとたまたま並んで見えるけど、実際には遠く離れた2つの星、という間柄です。そしてBinary Starの代表的な例は、あの全天一明るい星、「Sirius(読み:シリアス)=シリウス」です!
猪名川天文台では、2~3月の開台日の20:30~21:30に、「シリウスBチャレンジ!~シリウスの伴星の観察に挑戦しよう」と題して、毎日先着10名の方に観望会を開催しています(事前受付必要です)。シリウスはとても明るい星なので、相方の伴星を見るのは簡単ではないのですが、ぜひ猪名川天文台の誇る50cm反射望遠鏡で、シリウスが確かにBinary Starであることを目撃してください!

(まるちゃん)

【Binary Star(連星)

(第177号)
Stationary

読み:ステイショナリィ
意味:動かないこと、留(りゅう)

2023年、明けましておめでとうございます。毎年恒例ですが、このコーナーも、16年目に突入することになりました。これからもその時々の季節や星にまつわる英単語をご紹介できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、この冬の星にまつわる話題といえば、2年と2か月に一回接近する「Mars(読み:マーズ)=火星」ですね。冬の明るい星々に混ざって、見慣れない星が赤く輝いていたら、それがMarsです。今年最初の星にまつわる英語は、このMarsの動きにまつわる「Stationary(読み:ステイショナリィ)=留」です。「留(読み:りゅう)」と日本語で聞いても、はてな?という感じですね。地球から見える惑星は通常、夜空の中を西から東へ動いていますが、地球が追い越す時に、東から西へ逆に動いて見える時があります。Stationaryは、その動きが変わる瞬間、一瞬動きが止まる時のことを指します。Stationaryの元々の意味は“動かない”こと。日本語の留も“留まる”ことですから、どちらも“惑星の動きが止まる”ことを意味している訳です。
猪名川天文台では、1月中Marsと様々な見頃の天体を観る観望会を企画して、みなさまをお待ちしています。現在東から西へ動いているMarsは、1月13日にStationaryとなり、また西から東へ動き始めます。現在、雪や凍結のため閉鎖になっていて残念なのですが、また道路が大丈夫になりましたら、ぜひ猪名川の夜空を彷徨うMarsをご覧ください!

(まるちゃん)

【Station of Mars(火星の留)
星図:Stella Theater Pro(http://www.toxsoft.com)

(第176号)
Hunter

読み:ハンター
意味:狩人、オリオン座の愛称

すっかり冬の寒さ到来ですね。2022年もいよいよ最後の12月となりました。今年も一年間あっという間でしたが、無事にこの連載を続けることができて、本当に身の回りの全てのことに感謝したい気持ちです。どうもありがとうございました。来年も、いろんなことが起きるかもですが、夜空の星のように泰然自若としていたいものです。
さて、今年最後の星にまつわる英語は、この季節になると東の夜空に昇ってくるお馴染みのあの星座「Orion(読み:オライオン)=オリオン座」の愛称、「Hunter(読み:ハンター)=狩人」です。Orionにまつわるギリシア神話といえば、月と狩の女神アルテミスとの悲しいお話が有名です。狩の女神に気に入られるくらいですから、優秀なHunterであったに違いありませんね。もっとも、父親が海神ポセイドンというくらいですから、優秀でないはずがないのですが・・・・(笑)。
猪名川天文台では、12月22~25日にかけて「オリオン星雲とトラペジウムを観よう!」と題して今年最後の観望会を開催します。2022年の年忘れに、ぜひ猪名川の夜空に浮かぶHunterの姿をご覧ください!みなさま、どうぞ良いお年を!

(まるちゃん)

【Hunter/Orion(オリオン座)

(第175号)
Binoculars

読み:ビノキュラーズ
意味:双眼鏡

いつのまにか、秋もすっかり深まってきましたね。前回成田に引っ越したお話をしましたが、先日、良く晴れた夜に、成田空港の滑走路脇にある展望台に行ってみました。空港の明かりがあるので漆黒の空とはいかないのですが、一面に広がる星空を背景に、続々と着陸してくる飛行機を間近で眺めることができました。大きなカメラで飛行機を撮影している方などもいて、なんだか自分も、”星と飛行機”という新しい楽しみ方を見つけた気がしました!
さて、今回の星にまつわる英語は、「Binoculars(読み:ビノキュラーズ)=双眼鏡」です。Binocularsは、ご存知の通り小さな「Telescope(読み:テレスコウプ)=望遠鏡」が2つくっついたような形をしていて、「Naked eye(読み:ネイキッド アイ)=肉眼」 よりも暗い星まで見える星見道具です。Telescopeの方がより暗い星まで見えますが、Binocularのいいところは、なんといっても手軽なこと!セッティングも必要なく、両目にあてて夜空を見上げるだけで、びっくりするくらいたくさんの星が見えます。
猪名川天文台では、このたび天文台周囲の芝生の養生が完了したことを記念した特別企画として、11月19日に「双眼鏡使い方教室」を開催します。芝生の上に寝転がって眺める星空は最高です!ぜひこの機会に、Binocularsを片手に仰向けになって、 猪名川の夜空をご堪能ください!

(まるちゃん)

【Binoculars(双眼鏡)

(第174号)
Hero

読み:ヒーロウ
意味:英雄、ペルセウス座の愛称

10月です。私事で恐縮なのですが、筆者はこの10月1日付けで転勤になり、これまで住んでいた鎌倉を離れて千葉県の成田に引っ越してきました。もちろん単身赴任継続です・・・。成田では駅近の街中に住むことになったので、どのくらい星が見えるか分かりませんが、鎌倉での見え具合にすっかり慣れていたので、またぜひ比べてみたいと思います。
さて、今回の星にまつわる英語は、日本でもよく耳にする「Hero(読み:ヒーロウ)=英雄」です。これがどうして星にまつわるのか?というと、愛称で「Hero」と呼ばれる秋の星座があるのです。それが「Perseus(読み:ペルシウス)=ペルセウス座」です。このコーナーでも何度もでてきた、全天でも屈指の星にまつわるギリシア神話に出てくるHeroです。なんといっても海の怪物(くじら座)に食べられそうになっているアンドロメダ王女(アンドロメダ座)を救うのですから、かっこいいですよねえ。
Heroが振り上げた剣のあたりには、秋の見所として有名な二重星団h-χがあります。猪名川天文台では、10月20~23日にかけて「二重星団h-χを観よう!」と題して観望会を開催しますので、ぜひこの機会に猪名川の夜空から、Heroの手の先に輝く二重星団をご覧ください!

(まるちゃん)

【Hero/Perseus(ペルセウス座)

(第173号)
New Moon

読み:ニュームーン
意味:新月

ようやく9月です。7月も8月もこのコーナーで「暑いですね」と書きましたが、本当に暑い夏でしたね。多少お天気が悪いくらいがちょうどよく感じてしまいます、星は見えないのですが・・・。とはいえ、いつのまにかもう夏の終わり。仕事帰りに夜道を歩きながら空を見上げると、ちょうど真上に「Summer Triangle(読み:サマートライアングル)=夏の大三角」が見えるようになってきました。もう七夕から2ヶ月もたちますが、この季節ならではの”夏の終わりの大三角”にふと立ち止まったりします。
さて、9月にある星にまつわる伝統行事といえば・・・やっぱりお月見ですよね!今回の星にまつわる英語は、そんな月にまつわる「New Moon(読み:ニュー ムーン)=新月」です。直訳すると”新しい月”となって一瞬ピンときませんが、”新月”といえば、ちょうど満月の反対。地球―月―太陽の順番に一直線に並んで、地球からはちょうど影になって月がまったく見えない状態です。ここから”新しい月”が始まるという訳ですね。
今年の「中秋の名月」は9月10日とのこと。ようやく暑さもやわらいできたことですし、ぜひ猪名川の夜空から、お月見を楽しんでください!

(まるちゃん)

【The Moon after the New Moon (新月の翌日の月 月齢1.6)

(第172号)
Scorpion

読み:スコーピオン
意味:さそり、さそり座の愛称

真夏がやってきました!本当に暑い日が続いていますね。先月も“本当に暑い…”と同じことを書いた気がしますが、今年の夏は本当に暑いです。夜の星見は、お日様が出ていないのでまだましですが、それでも夕涼みというほどには涼しくない気が(汗)。そんな時は、ぜひ涼しい大野山のてっぺんまでお越しください!
今回の星にまつわる英語は、そんな暑い夏を代表する有名な星座の愛称「Scorpion(読み:スコーピオン)=さそり」です。ギリシア神話では、冬を代表する星座である狩人「Orion(読み:オライオン)=オリオン」を刺して殺したことで有名で、以来OrionはScorpionが西空に沈んだ後の冬に現れる…という代表的な星にまつわる神話の1つになっています。形も秀逸です。心臓にあたる中心には怪しく赤く光る一等星「Antares(読み:アンタリス)=アンタレス」が輝き、そこから東西にきれいに“S”字を描くように星が並んでいて、どう見ても“さそり”にしか見えなくなること請け合いです。
Scorpionといえば真夏のイメージですが、意外と昇るのが早くて、夏休みの前半くらいが見頃です。この夏休みはぜひ猪名川の夜空から、南天をはうように移動するScorpionの姿をご覧ください!

(まるちゃん)

さそり座(星座線付き)

【Scorpion (さそり座)

(第171号)
Replica

読み:レプリカ
意味:複製、レプリカ

7月、梅雨真っ盛り?のはずですが、、この記事を書いている6月末は、大阪も、筆者の住む関東も、とても暑い日が続いています。毎年この時期は「雨であんまり星が見えなくて残念」と書くことが多いのですが、こうも暑いと、少しばかり星が見えなくってもいいから、たまには雨が降ってもう少し涼しくなって欲しいような気も、、してきますね。
今回の星にまつわる英語は、ちょっと猪名川天文台からの宣伝です。実は、JAXAの相模原キャンパスがある相模原市などの団体によるイベントの一環で、「Hayabusa2(読み:はやぶさ とぅー)=はやぶさ2」が 小惑星「Ryugu(読み:リュウグウ)=リュウグウ」から持ち帰ったサンプルの「Replica(読み:レプリカ)=複製」が、全国の協力施設や団体に展示用に配布されています。
このReplicaが先日猪名川天文台にも届いて、6月12日から展示開始されました!実物大サイズとその10倍サイズの2つのReplicaが、Hayabusa2の模型と並んできれいに飾られています。展示は8月末までの予定ですので、ぜひこの機会に、猪名川の夜空のはるか彼方に浮かぶ小惑星Ryuguの姿を思い浮かべながら、地球外天体の”かけら”のReplicaをご覧ください!

(まるちゃん)

A replica of a sample of the asteroid Ryugu
(小惑星リュウグウのサンプルのレプリカ)

(第170号)
Cancer

読み:キャンサー
意味:かに座

6月です。お昼はシャツ一枚でもよいくらいですが、まだ朝晩はひんやりで、ちょうどよいお天気かもしれません。本格的な梅雨入りまでの短い間ですが、このお天気を満喫したいですね。夜空の星々も春真っ盛り。この記事を記載している今も、筆者の部屋の窓から南を眺めるとスピカが、その上を見上げるとアークトゥルスが、それぞれの色に輝いています。
今回の星にまつわる英語は、春の星座の中でも真っ先に昇ってくる「Cancer(読み:キャンサー)=かに座」です。冬の星座のしんがり「Gemini(読み:ジェミナイ(またはジェミニ))=ふたご座」の後、「Leo(読み:リオ)=しし座」を先導するように現れる小さな星座ですが、なんといってもCancerには有名な散開星団「Praesepe(読み:プリシピ)=プレセペ」があり、その存在感は抜群です。それ以外にも、実はCancerには美しい二重星「ι(読み:イオタ)」があります。
猪名川天文台では6月16~19日にかけて、「二重星のアルギエバとかに座のイオタを観よう!」と題して観望会を開催します。この機会にぜひ猪名川の夜空から、春を代表するCancerの散開星団と共に、美しい二重星たちをご覧ください!

(まるちゃん)

【Cancer(かに座)

(第169号)
Supernova

読み:スーパーノヴァ
意味:超新星

春真っ只中です。山々の木々の新緑がとてもまぶしい季節ですね。夜空の星の世界もいつもの春らしく入れ替わり、「Big Dipper(読み:ビッグ ディパー)=北斗七星」もすっかり北東の空高くに昇るようになってきました。春の空は星が少ない分、銀河系の外、ずーっと遠くにある「Galaxy(読み:ギャラクシー)=銀河」を観るのにうってつけの季節でもあります。
今回の星にまつわる英語は、そんな春の銀河の名所の1つ「おとめ座銀河団」にある銀河NGC4647の傍に突如現れた「Supernova(読み:スーパーノヴァ)=超新星」です。Supernovaは、太陽よりずっと重たい星が大爆発を起こして劇的に明るく輝く状態で、いつどこで起こるか予想もつかない現象ですが、今回は4月16日に超新星探索名人の板垣さんにより発見されたそうです。猪名川天文台でも50cm望遠鏡で早速に撮影トライして、ばっちり撮影に成功しました!
”春といえば銀河”ということで、5月は猪名川天文台でも「しし座」「おおぐま座」「おとめ座」と様々な銀河の名所をめぐって観望会を予定しております。この機会にぜひ猪名川の夜空から、銀河系を超えたはるか彼方を覗いてみてください!
(まるちゃん)

Supernova(超新星):SN2022hrs
撮影:田渕弘一 2022年4月28日

(第168号)
Observatory

読み:オブザーバトリー
意味:天文台

4月、ようやく待ちに待った春になりました。この冬は、感染症の問題に加えて積雪による影響など、猪名川天文台も通常営業できない時期があったりしましたが、これから世の中さらに落ち着いて、より多くの方に猪名川天文台へお越しいただけるとよいなと願っています。
今回の星にまつわる英語は、「Observatory(読み:オブザーバトリー)=天文台」です。このHPにお立ち寄りいただいている方には、既に、ページ最上部のロゴに「猪名川天文台/Inagawa Observatory」と記載があることにお気づきかもしれません。同様に、国立天文台は「National Astronomical Observatory of Japan(読み:ナショナル アストロノミカル オブザーバトリー オブ ジャパン)」となり、「NAOJ」の略称で親しまれています。子午線で有名なイギリスのグリニッジ天文台は「Greenwich Observatory(読み:グリニッジ オブザーバトリー)」といった具合です。
この春、Inagawa Observatory設立以来、「Observatory Chief(読み:オブザーバトリー チーフ)=天文台長」を務めてこられた田中さんがご退職されました。長い間、本当にお疲れ様でした。4月からは、新たに田渕Chiefが、大野山のてっぺんのObservatoryでみなさまのお越しをお待ちしております。これからも、どうぞ猪名川の夜空にご期待ください!
(まるちゃん)

Inagawa Observatory(猪名川天文台)

(第167号)
Pulser

読み:パルサー
意味:中性子星

3月です。もうすぐ春ですね…と暖かく明るい話題で書き出したいところですが、まだ寒い日があったり、猪名川天文台のある大野アルプスランドも感染症対策のため3月6日まで全面閉鎖であったりと、もう少し時間がかかりそうです。次回更新までには、世の中もう少し落ち着いて、晴れ晴れとした気分で星見できるようになっているとよいですね。
今回の星にまつわる英語は、以前このコーナーでもご紹介した「Crab Nebula(読み:クラブ ネビュラ)=かに星雲」の中心にある星「Pulser(読み:パルサー)=中性子星」です。おうし座の角の先にあるCrab Nebulaは、メシエカタログ1番(M1)、超新星爆発の残骸として、冬の星空の名所になっています。猪名川天文台HPのギャラリーにも写真がありますので、ぜひご覧ください。千年前に爆発した星が、今もPulserとしてこの残骸の中心で高速回転しながら電磁波を出し続けている、、とは、なんとも想像を絶する光景ですね。
猪名川天文台では、3月24~27日にかけて「ふたご座の散開星団とおうし座のかに星雲を観よう!」と題して観望会を開催する予定です。Pulserを直接目で見ることは難しいですが、千年前に大爆発した光景を思い浮かべながら、宇宙に広がる残骸を、猪名川の夜空からご覧下さい!
(まるちゃん)

Crab Nebula (M1)(かに星雲)

(第166号)
Aldebaran

読み:アルデバラン
意味:おうし座α星の固有名

寒い冬ですね。この記事を執筆している1月末現在、猪名川天文台のある大野アルプスランドは、下山道の凍結により全面閉鎖が続いています。今年はよく雪が降り、積もった雪が溶けずに道路が真っ白な状態が続いているようです。以前このコーナーでもお話した通り、雪景色の中で眺める星空はまた格別に美しいのですが、まずは安全第一で…防寒対策に感染防止、ケアすることが色々あって大変ですが、負けずに冬の星見を楽しみたいですね。
今回の星にまつわる英語は「Aldebaran(読み:アルデバラン)」。おうし座で一番明るいα星で、牛の顔のあたりで赤く輝いています。6つの一等星がダイヤモンドの形にならんだ“冬のダイヤモンド”の頂点の1つでもありますので、ぜひ機会があったら探してみてください。
ところで今、世の中で有名な“アルデバラン”といえば、AIさんが歌う連続テレビ小説の主題歌ですよね。筆者も好きで、毎日ドラマの行方が気になっているところです。歌詞の中で、“見上げてごらん煌めくアルデバラン”とある通り、天頂付近で輝くAldebaranを眺めると、なんだか訳もなく感動できたりします。
猪名川天文台では、2月10~13日、18~20日にかけて「冬の一等星を観よう!」と題して観望会を開催する予定です。果たして道路が通行できるようになっているとよいのですが。猪名川天文台HPで開館状況をご確認いただいた上で、どうぞお気をつけてお越しください。
(まるちゃん)

Taurus(おうし座)とAldebaran(アルデバラン)

(第165号)
h-χ Persei

読み:エイチ カイ ペルシイ
意味:ペルセウス座の二重星団(NGC869、NGC884)の別名

2022年、明けましておめでとうございます。毎年恒例の出だしですが、おかげ様で、このコーナーも15年目に突入しました。世の中ようやく落ち着くかと思いきや、変異ウィルス問題でまだまだな状況ですが、少しでも前に進めるよう、星に願いを込めたいと思います。
さて、今年最初の星にまつわる英語は「h-χ Persei(読み:エイチ カイ ペルシイ)=ペルセウス座の二重星団の別名」です。この記号、1603年にドイツのバイエルさんが発表した「Bayer designation(読み:バイエル デジネイション)=バイエル符号」と呼ばれる”恒星の命名法”に従って付けられた番号で、hがNGC869、χがNGC884のことを指します。二重星団といえば、以前このコーナーでも「Double Cluster(読み:ダブル クラスター)」としてご紹介した秋の夜空の名所ですが、星にまつわる長い歴史を感じさせる別名ですね。
猪名川天文台では、1月20-23日に「二重星団h-χを観よう!」と題して観望会を開催します。ペルセウス座は秋の星座のイメージですが、北の夜空にあるので真冬でも見えるのです。ちょっと寒いですが、年の初めに、ぜひ猪名川の空からhとχのランデブーをご覧ください!
(まるちゃん)

h-χ Persei(ペルセウス座の二重星団

(第164号)
Charioteer

読み:シャリオティア
意味:馬車(戦車)を駆る人、ぎょしゃ座の別名

先日11月19日の部分月食、ご覧になられましたでしょうか?ニュースとかでもたくさん取り上げられて、ほとんど真っ暗になった月を観た方も多いかもしれません。筆者も、仕事帰り、食の最大(=一番欠けている状態)には間に合わなかったのですが、薄曇の中、欠けた月がだんだん満月に戻っていく様を見上げながら帰宅しました。夜空の星を見上げながら歩くと季節を感じられてよいのですが、たまに溝に落ちそうになったりするので、どうぞ夜道にはお気をつけて。。
さて、今年最後の星にまつわる英語は「Charioteer(読み:シャリオティア)=馬車(戦車)を駆る人」です。はて?一体どの星にまつわるのか・・・といえば、これが「ぎょしゃ座」の別名なのです。「ぎょしゃ座」をご存知の方は多いと思いますが、この「ぎょしゃ」って誰だろう?と思って調べたところ、この英語に行き当たりました。ギリシアで発明された”戦場で使われる馬車”を駆る人が、この五角形の星座の「ぎょしゃ」という訳です。一方、この星座はギリシア時代よりもっと古くから知られており、そこではこの星座は「小さいヤギを抱いた老人」に見られていたそうです。随分と違うイメージですね。
猪名川天文台では、12月16-18日に「冬の一等星のアルデバランとカペラを観よう!」と題して観望会を開催します。「カペラ」といえば、冬の一等星の中でも真っ先に上がってくるCharioteerのα星。2021年の年忘れに、ぜひ猪名川の空から冬の美しい星たちをご覧ください!
(まるちゃん)

Charioteer(ぎょしゃ座

(第163号)
Chained Lady

読み:チェインド レイディ
意味:鎖につながれた女性、アンドロメダ座

すっかり秋も深くなってきました。夜空も秋の星座に入れ替わり、毎年のことながら日に日に寒くなる季節と相まって、どこか寂しげな雰囲気です。西空の木星と土星が、せめてものにぎわいでしょうか。
さて、今回の星にまつわる英語は「Chained Lady(読み:チェインド レイディ)」。鎖につながれた・・・というとなんだか物騒ですが、星にまつわる「Chained Lady」といえば、ギリシア神話のエチオピア王女「Andromeda(読み:アンドロメダ)」のことです。エチオピア王妃のカシオペア(=カシオペア座)が娘のAndromedaの美しさを自慢して海神ポセイドンの怒りを買い、それを鎮めるためにお化け鯨(=くじら座)のいけにえとして海岸で鎖につながれた・・・という神話は、星にまつわるギリシア神話の定番と言っていいでしょう。Andromedaの星図絵では必ず両腕に鎖がついていて、”Chained”だったことが分かります。
このAndromedaをChainから開放したのが、英雄ペルセウス(=ペルセウス座)とまあ本当に秋の星空はよくできているなと毎年感心してしまいます。
猪名川天文台では、11月3-7日に「アンドロメダ銀河と天王星を観よう!」、25-28日に「青い雪玉星雲を観よう!」と題して観望会を開催します。この機会にぜひ猪名川の空から、Chained Ladyの傍らで輝く北天随一の銀河と青い雪玉の姿ご覧ください!
(まるちゃん)

Chained Lady(アンドロメダ座

(第162号)
Blue Planet

読み:ブルー プラネット
意味:青い惑星、地球

毎晩肌寒くなってきましたね。南の夜空を見上げると、明るい星が3つ「へ」の字に並んでいます。真ん中の一番明るいのが「Jupiter(読み:ジュピター)=木星」、右下の少し暗いのが「Saturn(読み:サターン)=土星」、左下の一番暗いのが「Fomalhaut(読み:フォーマロウ)=フォーマルハウト」です。街中でも結構分かりやすいですので、ぜひご覧になってみてください。
さて、今回の星にまつわる英語は、みなさん聞いたことのある方も多いのではないかと思います。「Blue Planet(読み:ブルー プラネット)」といえば、なんといっても「地球」のことですよね。一度でいいから、宇宙から地球の姿を眺めてみたい・・・ものです。このBlue Planet、地球だけかと思ったら、実はこの「Solar System(読み:ソーラー システム)=太陽系」の中に他にもあるんです。それが太陽系第八番惑星「Neptune(読み:ネプチューン)=海王星」。探査機からの写真を見ると、地球よりももっと”Blue”に見えます。これは、Neptuneの大気に含まれるメタンが青い光を反射するからとのこと。”水の惑星”地球とはだいぶ赴きが異なるようです。
猪名川天文台では、10月14-17日、21-24日に「木星と土星と海王星を観よう!」と題して観望会を開催します。みずがめ座にいるNeptuneは今が観測の好機。この機会にぜひ猪名川の空から、もう1つのBlue Planetの姿をご覧ください。ほんとに青く見えるので必見です!
(まるちゃん)

Neptune(海王星)

(第161号)
Full Moon

読み:フルムーン
意味:満月

今年は本当に雨の多い夏でしたね。ちょうど先月このコーナーの記事を書いていた時は、東京オリンピックが盛り上がっている最中でしたが、1か月が過ぎ、今度は東京パラリンピックが盛り上がっています。普段見ないようないろんな国の国旗を目にしていると、太陽、月、星、など天体が入っている国旗って結構たくさんあるな・・・とか思いながら応援しています。
そこで、今回の星にまつわる英語は、「Full Moon(読み:フルムーン)=満月」です。昼間の太陽が暑ければ暑いほど、月の輝く涼しげな夜に癒される・・・のももっともだなと思いつつ、毎年9月に中秋の名月としてFull Moonを愛でる風習がこの国にあるあるのは、本当に素晴らしいタイミングだなと感心してしまいます。肉眼で眺めてもよし、望遠鏡で眺めてもよし、色んな楽しみ方があって飽きない天体です。
猪名川天文台は、現在午後8時までの時短開台となっておりますが、空が真っ暗でなくても愛でることができるのが月のよいところ。今年の中秋の名月は9月21日で、猪名川天文台はお休みの日なのですが、暑い夏の終わりに、大野山のてっぺんから、お月さまの鑑賞などいかがでしょうか?
(まるちゃん)

満月と猪名川天文台

(第160号)
Lagoon Nebula

読み:ラグーン ネビュラ
意味:干潟星雲(散光星雲M8(NGC6523)の愛称)

真夏です!筆者の住む鎌倉でも、あちこちでミンミンゼミが毎日元気いっぱいに鳴いています。感染症対策が続く中、東京オリンピックも開催され、去年とはまた一風違った夏の雰囲気を感じます。そんな夏でも、夜空にはやっぱりいつもと同じ夏の星座が輝いているのを見ると、なんだかほっとします。
さて、今回の星にまつわる英語は、そんな夏を代表する天体の1つ「Lagoon Nebula(読み:ラグーン ネビュラ)=干潟星雲」です。メシエカタログNo.8のこの天体は、夏の「Milky Way(ミルキー ウェイ)=天の川」のど真ん中、いて座の射手が引く弓のあたりに輝く散光星雲で、肉眼でも見える夏の夜空の名所です。どうしてLagoon=干潟なのか・・・は、写真を見るとなんとなくイメージが沸くのですが、眺めの素晴らしさを堪能するには、やはり直接観望するのが一番!ただでさえ星の多いエリアで、散開星団も重なっていて、大きい望遠鏡で見た時の景色は感動ものです。
猪名川天文台では、8月12-14日、26-29日に「木星と土星と天の川を観よう!」「夏の大三角と天の川を観よう!」と題して観望会を開催します。夏といえば、なんといっても天の川!この機会にぜひ猪名川の空から、天の川に浮かぶ干潟をご覧ください!
(まるちゃん)

Lagoon Nebula M8:干潟星雲(左下)とM20:三裂星雲(右上)
撮影:村本惠一 2020年8月14日

(第159号)
Telescope

読み:テレスコウプ
意味:望遠鏡

本格的に梅雨らしいお天気が続いています。毎年7月は集中豪雨が多く発生する季節、どうぞお気を付けください。星を見たい人にとっても、梅雨はとても困った季節。曇りの日が延々と続くと、夜空に輝く星が恋しくなってきます。そんな日は、星を見る道具について調たり、手持ちの道具があればもう一度使い方を確認するのも楽しいかもしれません。
そんな訳で、星を見る道具といえば、なんといっても「天体望遠鏡」。今回の星にまつわる英語は、「Telescope(読み:テレスコウプ)=望遠鏡」です。意味は“遠くのものを拡大して近くにあるように見えるようにする”道具なので、特に「天体」用という訳ではありませんが、Telescopeで検索するとたいてい天体望遠鏡がヒットします。一言でTelescopeといっても、その種類は千差万別。レンズを使ったり鏡を使ったり、それぞれに向き不向きがあったりと、調べれば調べるほど奥深くて楽しくなります。
猪名川天文台では、7月24日に恒例の「望遠鏡の使い方教室」を開催します。毎回ご好評いただいているこの企画、もしご自宅に使っていない望遠鏡がありましたら、ご持参いただければ天文台運営委員が一緒に使い方をご説明いたします。天文台にある望遠鏡をご使用いただくことも可能ですので、ご興味がありましたら、ぜひこの機会をご利用ください!
(まるちゃん)

Telescope(天体望遠鏡

(第158号)
Lunar X

読み:ルナー エックス
意味:月面X(月の表面に見えるアルファベットの「X」の形の地形)

みなさま、先日5月26日の「Total Lunar Eclipse(読み:トータル ルナー エクリプス)=皆既月食」、ご覧になりましたでしょうか?実は、この記事を書いている現在は5月26日の夜、筆者の単身赴任先の鎌倉の空は・・・厚ーい雲に覆われて、夜空のどこに月があるのかすら分かりませんでした。以前このコーナーでもご紹介した「Coppery Color(読み:カッパリー カラー)=赤銅色」に染まった月が見られず、残念です(泣)。日本から見える次のTotal Lunar Eclipseは来年11月のようですので、また次回!
さて、今回の星にまつわる英語は、そんな月にまつわる英語から「Lunar X(読み:ルナー エックス)=月面X」です。上限の月の頃に、月面の昼と夜の境界をたどっていくと、「X」の形に光って見える地形があります。複数のクレーターが密集して、周囲の外輪山に当たる光と影でちょうど「X」の形ができていて、Lunar Xという愛称で親しまれています。
猪名川天文台では、6月17日に「月面Xを観よう」と題してLunar Xの観望会を開催する予定です。実は、Lunar Xは太陽の光がちょうどよい角度で当たる時だけ見える地形のため、良い条件で観望できる機会は限られていて、6月17日のピンポイントでの開催となっています。この機会にぜひ猪名川の空から、いつも見慣れている月の知られざる姿をご覧ください!
(まるちゃん)

Lunar X(月面X

(第157号)
Virgin

読み:ヴァージン
意味:乙女、おとめ座の愛称

春本番!“五月晴れ”の気持ちの良いお天気、と書こうかと思ったところ、調べてみるとこの“五月”は旧暦の呼び方で、本来は“六月”の梅雨の時期の晴れの日を指す、ということのようですね。本当に日本語は奥深いです・・・感染症対策で大変な世の中ですが、せっかくの春、星空も含めて、少しでも楽しみたいですね。
さて、今回の春の星にまつわる英語は、春を代表するお馴染みの星座「おとめ座」の愛称となっている「Virgin(読み:ヴァージン)」です。春の星座は1つ1つが大きいことで知られていますが、このVirginも春の南の空にどっしりと構えていて、夜空に占める面積としては、「Hydra(読み:ハイドラ)=うみへび座」に次いで2番目に大きい星座。“おとめ”の響きから可憐なイメージを想像しますが、存在感抜群の大星座です。
このVirginの左手のあたりで青白く輝いている星が、一等星の「Spica(読み:スパイカ)=スピカ」で、このSpicaと「うしかい座」のArcturus(アークトゥルス)、「しし座」のDenebola(デネボラ)の3つの星を結んだ三角形が、「Spring Triangle(読み:スプリング トライアングル)=春の大三角」になります。
猪名川天文台では、5月27-30日にかけて「春の大三角を観よう」と題して観望会を開催する予定です。無事に緊急事態宣言期間を終了して、またみなさまと一緒に大野山のてっぺんから、猪名川の夜空を観望できるようになることを祈っています。
(まるちゃん)

【 Spring Triangle(春の大三角) 】

(第156号)
Island Universe

読み:アイランド ユニバース
意味:島宇宙、銀河

すっかり春らしくなってきました。今年は桜の開花も早そうですね。筆者が単身赴任している鎌倉周辺も、桜のつぼみが色づいてきました。昼には桜の木を眺めて、夜には北東の空に昇ってくる北斗七星を眺めて、春の訪れを満喫しています。
さて、春の夜空といえば、「Galaxy(読み:ギャラクシー)=銀河」。われわれが住む銀河系の星々にじゃまされず、銀河系からはるか遠くに浮かんでいるGalaxyを眺めるのに絶好の季節です。今回の星にまつわる英語「Island Universe(読み:アイランド ユニバース)」は、そんなGalaxyのことを指して、約200年前にドイツの哲学者カントが使った言葉です。Island Universeは、直訳すると「島宇宙」。今ではあまり見ませんが、筆者が子供の頃愛読していた星の本には「島宇宙」という言葉が使われていたのを思い出します。本来「Universe」は全ての「宇宙」のことを指しますので、宇宙の一部である銀河を「Island Universe」と呼ぶのはちょっと変なのですが、なーんにもない宇宙空間にぽつんぽつんと星の大集団が浮かんでいる様子を思い浮かべると、「Island Universe」という表現はとてもしっくりくるような気がします。
猪名川天文台では、春の夜空の見所である銀河にスポットを当てて、4月におおぐま座やしし座の銀河を観望する会を続々と開催します。ぜひこの機会に、広大な宇宙に浮かぶ個性豊かな”島”宇宙達を、猪名川の夜空から眺めてみてください!
(まるちゃん)

【 Island Universe(島宇宙、銀河) 】
(おとめ座銀河団)

(第155号)
Algieba

読み:アルジーバ
意味:アルギエバ、しし座γ星

3月、卒業や職場の異動など、いろいろと締めくくりの季節ですね。夜空も、明るく輝いていた冬の一等星が次第に西に傾くようになるのを見ると、春夏秋冬をぐるっと巡って、また地球が太陽の周りを一周したんだなあ・・と一人で感慨にふけったりしています。
さて、今回の星にまつわる英語「Algieba(読み:アルジーバ)」は、あまり聞きなれない言葉かもしれません。春を代表する星座の1つ「Leo(読み:レオ)=しし座」のγ星の名前です。場所は、「Sickle(読み:シクル)」と呼ばれる「ししの大がま」の首の後ろ、ちょうど”草刈り鎌”の柄の付け根のあたりに輝く星です。このAlgieba、2つの巨星が約620年の周期でお互いの周りを回っている「Double Star(読み:ダブル スター)=二重星」で、色の対比が美しいことでちょっとした春の夜空の名所になっています。地球が1年かけて太陽の周りを回るのに比べると、途方もないスケールに圧倒されますね。
猪名川天文台では、3月25~28日にかけて「春の二重星を観よう!」と題して、観望会を開催します。ぜひこの機会に、春の見所のDouble Starたちを、猪名川の夜空からご鑑賞ください!
(まるちゃん)

【 Leo(しし座)】

(第154号)
Twins

読み:トゥインズ
意味:双子、ふたご座の愛称

真冬です。寒い中ですが、冬の星々が一番よく見える季節です。冷たく晴れ渡った夜空でギラギラと輝く一等星はとても魅力的ですが、眺めるときには防寒対策はもちろん、感染防止のためにも、体調を崩さないように十分お気をつけ下さい。
さて、今回の星にまつわる英語は「Twins(読み:トゥインズ)」。映画のタイトルにもなっていたこの単語の意味は「双子」です。星にまつわる双子といえば「Gemini(読み:ジェミニ)=ふたご座」ですね。このGeminiの愛称がTwinsという訳です。Twinsは冬のダイヤモンドを構成する6つの星座の1つで、仲良く並んだα星=ポルックスとβ星カストルが、まさに”双子”のイメージにぴったりです。Twinsの周囲には見所の星雲・星団もあり、特にTwinsのお兄さん=カストルの足元にある散開星団M35は、よく晴れて暗い夜空であれば、肉眼でもぼんやり分かるくらい大きくて明るい星団です。猪名川天文台HPのPhotoページにも写真がありますので、ぜひご覧下さい。
猪名川天文台では、2月11~14日にかけて「ふたご座の散開星団M35とオリオン星雲を観よう!」と題して観望会を開催します。現状では営業時間を短縮しての開館となっておりますが、お天気と開館時間をご確認いただいた上で、ぜひお越しください。
(まるちゃん)

【 Gemini (Twins) ふたご座 】

(第153号)
Rendezvous

読み:ランデブー
意味:待ち合わせ、(宇宙船などが)出会うこと

2021年、明けましておめでとうございます。おかげ様で、このコーナーも14年目に突入しました。地球上では現在も難しい状態が続いていますが、今年は去年より少しでも良い年になりますよう、お祈りしています。
さて、新年最初の星にまつわる英語は、カタカナ言葉でも馴染みのある「Rendezvous(読み:ランデブー)」、実は英語ではなくフランス語です(汗)。意味は、ご想像の通り「出会う」こと。人と人が待ち合わせて出会うのもRendezvous、国際宇宙ステーションとソユーズがドッキングのため接近するのもRendezvous、そして、日本の探査機「Hayabusa 2=はやぶさ2」が小惑星「Ryugu=リュウグウ」に接近したのもRendezvous、です。先月12/6に、Hayabusa 2のカプセルがオーストラリアの砂漠に帰ってきたニュースは、思わず「お帰りなさい!」と声をかけたくなるような、本当に感動的な出来事でした。このコーナーで「Hayabusa 2」をご紹介したのは、打ち上げ翌月の2015年1月。それから6年たって、こうして“無事帰還”の記事を書いているのは、なんだかとても感慨深い気分になります。
さて、猪名川天文台は、新年は1月7日から開館します。今年もいろいろなイベントを企画して、みなさまのお越しをお待ちしております。人と人がRendezvousするのも難しい世の中、せめて遠い宇宙の天体と、Rendezvous体験してみてはいかがでしょうか?
(まるちゃん)

【View from inside Gemini VI of the Gemini VII spacecraft during the rendezvous maneuvers.

ランデブー操作中のジェミニVII宇宙船のジェミニVI内部からの眺め

(第152号)
Noctilucent Clouds

読み:ノクティルーセント クラウズ
意味:夜光雲

いろんな特別な状態が続いた今年も、ふと気が付くと、あと少しになってしまいました。猪名川天文台も、緊急事態宣言や道路工事による長期休館など、いつもと全く違う1年でしたが、先日無事再開されて、本当にうれしいようなほっとしたような気持ちです。感染予防に努めつつ、星空と一緒に2020年を見送りたいと思います。
ところで、11月29日(日)の夕方、種子島宇宙センターからH2Aロケットが打ち上げられ、データ中継衛星を予定通り分離することに成功しました。今年最後の英語は、このロケット打ち上げにまつわる特別な雲の名前、「Noctilucent Clouds(読み:ノクティルーセント クラウズ)=夜光雲」です。Noctilucentとは、“夜に輝く”という意味。“夜に光る雲”の名前の通り、明け方や夕方の地上が暗い時に、上空のとても高い所で発生して太陽に照らされ、明るく輝く雲のことです。今回ロケットの打ち上げが夕方で、夕暮れで地上が暗くなった日本各地で、光る筋状の雲が見られたとのこと。ロケットが出す水蒸気などが原因で雲が発生し、それが太陽に照らされて見えていたそうです。とても珍しい現象のようですが、筆者は見逃してしまいました、、残念。
さて、今年も1年間「星にまつわる英語」をご覧いただき、どうもありがとうございました。地上ではまだまだコロナ問題が収まりませんが、夜空を見上げながら、来年は少しでも状況が改善するよう祈っています。みなさま、良いお年を!
(まるちゃん)

【Noctilucent Clouds(夜光雲) 白い筋状の雲

11月29日16:25のH2Aロケット43号機の打ち上げで発生

撮影:田渕弘一 2020年11月29日

(第151号)
Winged Horse

読み:ウイングド ホース
意味:羽の生えた馬、ペガスス座の愛称

秋もすっかり深まってきました。仕事帰りに、西空に並んだ土星&木星と、東空に赤く輝く”Red Planet”=火星を見比べながら夜道を歩くのも、だんだん寒くなってきた気がします。この秋は、ずらりと並んだメジャーな惑星たちが夜空の主役になっている感じですが、お馴染みの秋の星座もすっかり夜空高くに上がるようになりました。
今回の英語は、そんな秋の星座の代表格、「Winged Horse(読み:ウィングド ホース)=羽の生えた馬」と聞けば、すぐに連想できるかもしれません。そう、天馬、ペガスス座の愛称です。このコーナーでも、以前「Great Square(読み:グレイト スクウェア)=秋の四辺形」としてご紹介した通り、四角に並んだ星が印象的な星座です。周囲には、このWinged Houseに乗っていたペルセウスや、同じ神話に登場するエチオピア王家の面々が集まっていますので、神話と星空を一緒に楽しむには最適のエリアです。
さて、うれしいニュースを1つ。長らくお待たせしておりました工事が完了し、いよいよ11月1日(日)から猪名川天文台が再開できることになりました。感染症予防に十分注意した上で、みなさまのお越しをお待ちしております!
(まるちゃん)

【Winged Horse(ペガスス座)とCassiopeia(カシオペア座)

(第150号)
Red Planet

読み:レッド プラネット
意味:赤い惑星、火星の愛称

暑い夏が終わり、だんだん秋らしくなってきました。梅雨~猛暑と激しく季節が変わった後、なんだかようやくお天気もひと段落したように感じます。このまま大きな台風とかなく穏やかに秋を堪能したいものですね。
夜空はというと、東の空に見慣れない明るくて赤い星が出ているのに気づかれた方も多いかもしれません。これが、今回の英語「Red Planet(読み:レッド プラネット)」、その名の通り「赤い惑星」=「Mars(読み:マーズ)=火星」です。いよいよ2年2か月ぶりに、10月6日に地球に最接近することで話題になっています。Red Planetの愛称の通り、Marsといえばなんといってもその赤い色が目を引きますが、夜空の中の位置にもぜひご注目ください。毎日眺めていると、どんどん位置が変わっていくのが分かります。まさに“地球がMarsを追い抜いている”様子を体感できて、自分が地球と共に宇宙の中を動いている気分になれる・・と思います!
Red Planetが夜空高くに煌々と輝く姿を見られるのは2年に一度だけ。ぜひこの機会に、Red Planetの赤い光をご覧ください!
(まるちゃん)

【Red Planet(赤い惑星):Mars(火星)(撮影:2020年9月22日)

(第149号)
Perseverance

読み:パーシビアランス
意味:忍耐、不屈の努力、NASAの火星探査車の名前

つい先月、長―い梅雨がようやく終わりを・・・と書いたと思ったら、今度は一転して毎日ギラギラと暑い夏の日が続いていますね。太陽が待ち遠しく思ったものでしたが、ここまで晴れると“もうたくさん”とも言いたくなります。なかなか人類の都合よくはいかないものですね。
さて、今回の英語「Perseverance(読み:パーシビアランス)」は、「忍耐」「根気」「不屈」など“じっと耐えて頑張る”イメージの単語ですが、これが星にまつわる理由は、この名前が付いた「Rover(読み:ローバー)=探査車」を乗せた探査機が、現在「Mars(読み:マーズ)=火星」に向かって飛行中だからです。NASAのMARS 2020ミッションで、この7月に打ち上げられ、来年2月にMars着陸予定です。Marsは2年2か月毎に地球と接近しますが、間もなく10月6日に最接近する予定で、これに合わせて地球から複数の探査機がMarsを目指しています。果たして、人類にどんな発見をもたらしてくれるでしょうか?
このPerseveranceの命名、なんだかコロナ問題で不自由な生活が続く自分達を励ましてくれているみたいで、筆者はちょっと気に入っています。間もなく東の空で見ごろになるMarsを眺めながら、探査機たちの無事のMars到着を祈りたいと思います。
(まるちゃん)

【MARS 2020 MISSION PERSEVERANCE ROVER

(第148号)
Radiant

読み:ラディアント
意味:キラキラ輝く、明るい、(流星群の)放射点

一体いつまで続くんだろう、、とぼやきたくなるような長ーい梅雨が、ようやく終わりを迎えそうですね。夏のギラギラした太陽も、いつもより短い夏休みに合わせるかのように、8月に入ってからの登場になるようです。なんだか待ち遠しい気がしてきますね。
夏休みといえば、「いながわ星まつり」など星にまつわるイベントも盛りだくさんのシーズンですが、残念ながら、今年は猪名川天文台が安全対策工事で休館中のため、イベントはありません。でも、地上のそんな事情とは関係なく、夜空ではいつもの夏のイベントが繰り広げられます。夏休み恒例の天文イベントといえば、このコーナーでもご紹介したことのある「Perseids(読み:ペルシイズ)=ペルセウス座流星群」。いつもお盆付近に見ごろになる流星群で、今年は8月12日深夜~13日未明あたりに一番見えるようです。今回の英語「Radiant(読み:ラディアント)=放射点」は、そんな流星群にまつわる英語で、”Radiantと呼ばれる夜空の1点から全ての流星が流れてくる”ように見えます。Perseidsの場合は、その”点”がペルセウス座にあるので、ペルセウス座流星群と呼ばれる訳です。
世の中新型コロナウィルス問題でまだまだ不便な生活が続きますが、夏の夕涼みに、ペルセウス座のRadiantから流れてくる流星たちを眺めてみるのはいかがでしょうか。
(まるちゃん)

【Perseids ペルセウス座流星群(撮影:2018年8月13日)

(第147号)
Eclipse Magnitude

読み:エクリプス マグニチュード
意味:(日食・月食における)食分

梅雨、雨や曇りの日が多く、星の見にくいシーズンですが、先日ちょっと話題になった天文現象がありました。「Partial Solar Eclipse(読み:パーシャル ソーラー エクリプス)=部分日食」です。新聞やニュースでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。残念ながらここ猪名川町は曇り空で、筆者も夕方の西空を眺めていましたが、なんとかぎりぎり太陽の形が分かるかどうか!?くらいのお天気でしたね。それでも、いつもの同じ時間帯と比べると少し暗くなっていることが感じられて、日食の気分を味わえた気がします。
さて、今月の星にまつわる英語は、そんな日食にまつわる「Eclipse Magnitude(読み:エクリプス マグニチュード)=食分(読み:しょくぶん)」です。太陽の直径を「1」とした時に、どれだけの割合が月の影に隠されたかを表す数値で、今回のPartial Solar Eclipseでは、大阪の最大のEclipse Magnitudeは「0.538」でした。「0.5」以上ということは、丸い太陽の真ん中まで欠けた状態だったということですので、少し辺りが暗くなったのもうなずける気がしました。
次に日本で本格的な日食が見えるのは、2030年!とのこと。しばらく先になりますが、その頃には宇宙のことがもっと色々分かっているかも!?と今から楽しみですね。
(まるちゃん)

Partial Solar Eclipse 2020/6/21 (Eclipse Magnitude:0.538)

撮影:田渕弘一 2020年6月21日

(第146号)
Time-Lapse

読み:タイム ラプス
意味:低速度撮影

ようやく緊急事態宣言が解除され、少しずつ外出する機会が増えた方もいらっしゃるかもしません。猪名川天文台にもぜひ!とお声がけしたいところですが、HPに記載の通り、猪名川天文台ではこの機会に道路の工事をすることになり、10月末まで休館することになりました。みなさまにお越しいただけないのは本当に残念なのですが、また夜空高くに「Andromeda Galaxy(読み:アンドロメダ ギャラクシー)=M31=アンドロメダ銀河」が昇る頃、大野山の山頂でお待ちしております。
さて、今月の星にまつわる英語は、「Time-Lapse(読み:タイム ラプス)=低速度撮影」です。最近ではスマホのカメラにも機能が搭載され、すっかりお馴染みかもしれません。一定の間隔を空けて何枚も写真を撮り、それをパラパラ漫画のように連続で映した動画です。普通に夜空を見上げると、星は同じ場所でじっと輝いていますが、Time-Lapseで時間をかけて撮影すると、東から西へ星々がゆっくり動いていく様がよく分かり、地球はこの速度で自転しているんだなあと実感します。
猪名川天文台では、YouTubeの「猪名川天文台動画チャンネル」でいろいろなTime-Lapse動画を配信しています。公開中の「猪名川天文台のきれいな星空2019」では、昨年撮影された動画がきれいに編集されていますので、有咲りんさんの素敵な歌声と共に、ぜひご覧ください!
(まるちゃん)

猪名川天文台のきれいな星空2019

(音楽付)

【Time-Lapse】

(第145号)
Opera Glas
s
読み:オペラ グラス
意味:オペラグラス(小型の双眼鏡)

春本番、一年のうちでも一番気持ちのよい季節ですね。 こんなに良いお日柄なのに、お出かけすることもままならないのは本当に残念ですが、もう少しの辛抱と信じて、夕方にベランダから 「Evening Star(読み:イブニング スター)=宵の明星」を眺める今日この頃です。
さて、今月の星にまつわる英語は、星を眺める際の小道具の1つ「Opera Glass(読み:オペラ グラス)=オペラグラス」。 オペラグラスといえば小さな双眼鏡で、“オペラ”と名の付く通り観劇やスポーツ観戦などで活躍する道具ですが、実は夜空を眺めるのにもとっても役に立ちます。 本格的な双眼鏡や望遠鏡に比べるとずっと簡単な作りですが、そのお陰で、小さくて軽くて、手に持って夜空を眺めていても疲れにくい、など利点もたくさんあります。 もし星を眺める目的で用意される場合は、とにかく視界が広いものがお奨めです。 筆者も1つ持っていますが、肉眼では見えない星が見えて、星座の形をたどるだけでも結構楽しめます。
世の中大変な状況が続いていますが、夜空ではいつも通り、春の星座たちが見ごろになってきました。 Opera Glassを使ったり、肉眼だったり、夜空を眺めながら、いろいろな事態が早く落ち着くよう祈っています。
(まるちゃん)

【Opera Glass】