大接近!火星観測情報


★★★★ 2003年11月1日 ★★★★

火 星 観 測 終 了 !!


【 観測時間 】
 21時30分から25時30分
【 観測状況 】
 夏の暑い盛りには、不気味さをも感じさせるほどに赤々と輝いていた火星も、 つい最近では光度も下がり、どちらかというとオレンジ色の美しい星といった イメージがぴったしになってきました。そのことは、大接近時の火星と現在との 火星を写真を使って見比べてみたら大きさ並びに光度の減少は一目瞭然で、 改めて世紀の大接近から2ヶ月あまりという時間の流れや惑星の動きの早さを実感いたしました。
 ところで、5月から、今年の超天体イベントであります火星大接近をターゲットに取り上げ、 皆様に観測情報をご提供させていただいておりましたが、火星も上記で述べましたように 地球からずいぶん離れたこともあり、今回の観測をもちまして、猪名川天文台運営委員会の 火星継続観測を終了させていただきたいと思います。長期間ありがとうございました。
 継続観測は終了いたしますが、猪名川天文台の主鏡である50cmの望遠鏡を使えば、 まだまだ火星の眼視観望をすることは十分可能ですので、もう一度天文台にお越しください。 お待ちしております。

☆火星の模様☆
 今回、継続観測を開始して以来やっと「大シュルティス」を写真で捉えることができました。
 
【図11】 2003年11月01日21:35 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/15秒 408枚コンポ ジット
 それは、画像の中央よりやや右に、地球の「インド」のような形をして見えております。 そして、その左側に「ヘスペリア」、下に「ユートピア」などの模様が確認できます。 さらに「大シュルティス」の上には丸い形をした「ヘラス盆地」(この画像では確認ができない。)があります。

☆火星の画像(写真)について☆
 さて、今回で継続観測が終了することによりホームページの掲載もそれに伴い今回が最終となりますので、 観測報告の本題からは少し横道にそれるのですが、最後に我々が継続観測で掲載していた写真をどのように 作成しているのかという裏話を少しさせていただきます。
 今年は天候不順と、晴れていてもシーイングの悪い状態が続き写真撮影には本当に苦労いたしました。 まず、観測に入りますと、大気の状態が良いときに(実際は雲の隙間を狙っての方が多かったように記憶しています。) デジカメを主鏡である50cmの望遠鏡に接続して拡大撮影を行いました。 1回の撮影枚数は平均で約200枚程度撮影をいっきに行ってしまいます。

【画像1】撮影した画像

【画像2】重ね合わせ後

【画像3】画像処理後

 そして、その1枚の画像が「画像1」となっております。この写真を見ていただければ分かるとおり、 1枚ではとても暗く、画像も相当ぼやけて模様等の認識もできないといった状態であります。 そこで、撮影を行った中でよい画像のみを抽出し、可能な限りの枚数のコンポジット(重ね合わせ)処理を施します。 そのコンポジットした画像が「画像2」となっております。ここでようやく模様らしきものを確認することができる のですが、まだまだこれでは画像がはっきりしませんので、さらに画像処理ソフトを使い、コンポジットした画像を よりシャープで見やすくするために、コントラスト、シャープ、トーンカーブ、カラーバランス等の微調整をして 仕上げていきます。それらの画像処理で仕上げたのが「画像3」となります。そういう行程を経てやっと ホームページへの掲載ととなります。
 このようにして撮った写真を、観測日付順にまとめたものが天文台の1階プラネタリウムに展示しておりますので 来台の際、一度ご覧ください。模様、大きさ、そして形の変化などが良く分かると思います。

☆おわりに☆
 6万年ぶりの大接近。子供から大人まで宇宙の面白さや神秘さ、そして感動さえ与えてくれた今回の火星大接近。 皆さんはどのように感じられまでしょうか?
 我々猪名川天文台スタッフは、いまだかつて人類が経験していない今回の大接近に遭遇できたこと、 またそれらの継続観測ができたことはとてもうれしく思っております。そして次回、2年2ヶ月後にめぐってくる 接近を楽しみに待ち、その時にも観測を実施したいと考えております。


猪 名 川 天 文 台

★★★★ 2003年10月18日 ★★★★

火星からまだまだ目が離せない!!


【 観測時間 】
 21時30分から23時30分
【 観測状況 】
 大野山山頂は、一足先に晩秋という言葉が似合う季節となってしまいました。 草むらで鳴く虫の声も心なしか寒さにふるえているように聞こえます。  「夏草やつわものどもが夢の跡」と言う芭蕉の俳句がありますが、 この夏火星大接近の大フィーバーに沸き、家族連れをはじめ、若いカップルなどの たくさんの方々が訪れた天文台も、その時からくらべるとひっそりと静まり返って いるような気がします。
 一般の世間では、もう「火星大接近」というのはずいぶんと昔の出来事なのでしょうか?  猪名川天文台の50cmの望遠鏡を使えば、まだまだ「ホットな火星」の姿を十分に 観察することができます。 しかし、日々火星が地球から離れていっておるのも事実ですので、 お早めにもう一度ご覧になっておいてください。
 火星からまだまだ目が離せませんよ!!

☆火星の南極冠
 今回は火星の南極冠(以降、極冠といいます。)についてご報告したいと思います。
 南極冠は、皆様もよくご存知の火星の南極にあたるところで、今回の大接近にあわせ、 火星の南半球が夏季にあたることから、極冠についての変化を我々も興味を持ち観測して きました。大接近時目前から9月にかけて、急速な減少をたどる変化でしたので、 このまま極冠が消滅してしまうのではないかと思っておりましたが、いままでの写真からも 伺えますように、消滅することなくかろうじて確認し続けることができました。
 そこで今回、眼視観測にも少し時間を掛け、極冠がどのような状態なのか、 大きさは以前に比べてどうなのかという点を見てみました。
 
【図10】 2003年10月18日21:35 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/15秒 408枚コンポ ジット
 天文台の望遠鏡から眼視で火星を見ますと、火星の全体象の上部(12時の方向)に はっきりしたその存在を簡単に見つけることができます。 これは誰でも確認できますので一度チャレンジしてください。 なお、それでも分からない場合はスタッフに遠慮なく申してでください。 お手伝いいたします。
 今回の眼視での極冠観測からは、「たやすく目に飛び込んでくる」といったことからして、 やはり大きくなっているのではないかとの印象を受けました。 また、以前撮った写真(9月26日)と今回撮影した写真の比較からしても少しずつ 大きさを取り戻しつつある姿が確認できるのではないかと思います。
 次に模様面ですが、火星の模様は遠くになったこともあるのかシンチレーション (大気のゆらぎ)はまずまずだったにもかかわらず、眼視観測では模様があるのでは ないかといった程度の像の状態でした。
 今回の火星面の模様の位置は、「マルガリティフェルの湾」、「エリュトゥラエムの海」を 中心に、それらの下には「アキダリウムの海」そして「ニロクラス」等が写っております。


猪 名 川 天 文 台

★★★★ 2003年10月12日 ★★★★

観測での写真撮影は滑り込み?


【 観測時間 】
 20時00分から24時00分
【 観測状況 】
 今夜の大野山山頂は、ちょうど山頂付近を雲が常時通過しているといった あいにくの天候状態で、ほんの一瞬、雲がとぎれた合間を縫っての観測となりました。
 皆様に火星映像を報告している写真撮影、今回も雲の流れの隙間から火星が 望めた一瞬のチャンス(延べ時間にして約5分程度)を狙っての撮影となって しまいました。
 当然このような気象条件なので、いつ雨が降り出しても不思議でないため、 1名が天文台の外で待機し、雨が降り出した時には知らせるといった連例プレーの 末に得られたのが、今回添付している写真です。今回も何とか滑り込みでした。

☆火星の模様
 さて今夜の火星は、本当、久しぶりに違った模様を見せてくれました。 中央に丸く見えているのが「太陽の湖」、その左側には「ティトニウスの湖」が、 そして「太陽の湖」の右側には「シレーネスの海」らしき模様が確認されます。 火星図をお持ちの方は一度合わせてみてください。
 
【図10】 2003年10月12日21:05 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/15秒 185枚コンポ ジット
 また、極冠についてですが、ご覧のとおり小さいながらも白く輝いている すがたを見せてくれております。火星暦からすると9月が火星の南半球の盛夏に あたるそうで、それらのことからすれば、この時期(10月中旬)になると火星の 南半球ではすでに盛夏の季節を終えているはずで、極冠は今後徐々に大きくなって いくものと推察されます。
 これからも、この極冠の変化についてできるだけ観察して行きたいと思います。

猪 名 川 天 文 台

★★★★ 2003年10月4日 ★★★★

お ぉ ! さ ぶ っ !


【 観測時間 】
 21時30分から23時00分
【 観測状況 】
 10月に入った大野山山頂は、夜間の平均気温が10度前後まで低下しとにかく寒い!
天文台に来られる際にはできるだけ厚着(冬の服装)でお越しください。
 ところで、8日の仕事帰りにふと火星を見てみると、さすがに大接近の8月下旬頃に比べると、 心なしかというよりもずいぶん光度が低下しているように伺えました。
これも順調に地球から離れていっている証拠だと改めて再認識いたしました。
 最接近時には及びませんが、天文台の50センチの望遠鏡を使えばまだ十分観望を 楽しめますので、温かい服装で天文台へ火星を見に来てください。
スタッフ一同お待ちしております。

☆火星の模様
 日々変化する火星の模様の変化や状態(大接近後少しずつ欠けて小さくなっていく様子)を 写真映像にて皆様にご提供できればと思い、観測を実施した際に撮影を行うのですが、 火星の自転と我々の観測日の相性がよほど良いのか? 何故か撮影をすると同じ模様と なってしまいました。
 したがいまして、今回の写真の模様(シンチレーションが悪く模様の写りが不鮮明ですが) につきましても以前の写真と比べていただければ名称が確認できるのではないかと思います。 以前の写真と見比べて名前を確認してください。

 
【図10】 2003年10月4日22:35 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/15秒 657枚コンポ ジット
☆今後の火星
 さて、今後の火星の動きですが、すでに9月26日に2度目の留 (逆行から順行に移る点では、惑星の動きが停まったように見える。)を 迎え、その後、順行移動へと移っており徐々に地球から離れていっております。 離れていくとともに火星の形状にも変化が現れ始め、上記にも示しましたように 少しずつですが欠けていきます。 今回の写真からもこれらの変化を確認することができます。
そして火星は、これから2年2ヶ月後の地球との再会(接近)に向け 公転軌道を進んでいきます。

猪 名 川 天 文 台

★★★★ 2003年9月27日 ★★★★

火 星 観 望 は ま だ 大 丈 夫 !


【 観測時間 】
 19時30分から23時15分
【 観測状況 】
 天文台で、「火星はいつごろまで観ることができるのですか?」という質問を よくお受けいたします。前回にも述べましたように、大接近時に比べると約2割程度 小さくなっておりますが、まだまだ観望好機の状態が続いております。
ぜひこの機会にご家族で火星観望をしてください。お待ちしております。
 さて、観測当夜は、近畿地方を高気圧がすっぽり覆っている晴れマーク一色の 天気予報とはうらはらに、開館時間後半から大野山山頂の天敵?である霧(よく発生する) が発生し始め、閉館後は一面霧に覆われ、その後、時雨れるといったあいにくの 観測条件となってしまいました。
 今回の観測報告につきましては、26・27日の会館時間内のお客さんと共に 観測した眼視観測並びに26日に撮影した写真【図9】 (27日と同様な霧が発生するといった気象条件での撮影)を基に報告させていただきます。

☆火星の模様と極冠
 大接近後の8月30日、9月6日、13日に火星の継続観測は実施したのですが、 27日の火星の模様を眼視で確認するのですが、横一列の模様(前日撮影の添付写真も 同様の模様が写っている。)が200倍で何とか確認ができるといったシンチレーション (大気の流れによる像の揺らぎ)の状態でありました。
 お客さんのリクエストもあり倍率を350倍、そして700倍程度と徐々に上げ 模様の状況の確認を行ったのですが、像の状態は悪化する一方となってしまいました。
 お客さんの中には、よく高倍率にする方が大きくてより良い像の火星が望めるものと 思っておられる方も多いのですが、これらの好条件の像を得るにはシンチレーションの 影響がとても大きく作用します。シンチレーションの状態がとても安定している場合のみに 好結果が得られるものであって、シンチレーションが悪い場合はかえって悪化して しまいますので、適正倍率で観られることをお勧めいたします。
 次に極冠の状況ですが、以前「極冠が消えそう!」とお知らせいたしておりましたが、 眼視並びに写真などの観測状況から小さいながらもまだ消滅していない状態が続いて おります。
 
【図9】 2003年9月26日20:15 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/15秒 114枚コンポ ジット
 しかしながら、今回の眼視を含めた観測では火星が望遠鏡の中で暴れていることも あって、極冠が見えているのかどうなのか良くわかりませんでした。 そこで、26日に撮影していたビデオ映像、写真【図9】でもと思い確認をしたの ですが写りが非常に悪く判断できませんでした。小さくあるような気もするのですが…。 皆さんはどのように判断されますか。今後の観測で確認をしたく思います。

猪 名 川 天 文 台

★★★★ 2003年9月14日 ★★★★

火 星 観 測 は 忍 耐 と 根 性 !


【 観測時間 】
 20時30分から23時15分
【 観測状況 】
 今年の天候不順は本当に半端じゃない! そして週末ともなると決まって天候が悪くなる。
天文台ではたくさんのお客さんが、いざ火星を見るぞという時間帯に突入すると何故か 大野山天文台の上空は雲や霧がどこからともなく沸いてきて、火星や星空の姿を隠してしまう。
「なんでやねん! あんなけ昼や麓では晴れとったのに。」と、つい口に出してしまいます。 私たち天体観察を行っていますと、このようなことはよくある出来事なんですが、 このような場合はあせっても仕方がないので、とにかく一にも二にも
「ぜったい観たんねん。」
という忍耐(ねばり)と根性が必要です。
そして、雲が出ている間ドームの中はたくさんのお客さんと、「忍耐と根性!」を合言葉に すてきな火星の姿を楽しみに待ちながら観望を行っております。

☆火星の模様
 大接近後の8月30日、9月6日、13日に火星の継続観測は実施したのですが、 大野山山頂の悪天候に阻まれ観測不能という結果となりました。
 その後、9月13、14日の観測では雲の間から火星がのぞくという状況で観測を 行うことができましたが、両日ともシーイング(大気の流れによる像の揺らぎ)が 非常に悪く、火星が望遠鏡の中で暴れ放題という状況でした。
 したがって、今回の火星の写真からは鮮明な姿での模様を確認することができませんが、 左端の上には「ヘラス」の一部、「サバ人の湾」、「子午線の湾」、 「マルガリティフェルの湾」、そしてそれらの下の部分に大きく横たわるように 「アラビア地方」が見られます。
 火星は自転周期の関係で、日々、いろいろな姿(模様)を見せてくれます。 火星もしだいに地球から遠のいていきますので、ぜひ今一度火星の姿を天文台の 望遠鏡でのぞいてください。お待ちしております。

 
【図8】 2003年9月14日22:05 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/15秒 212枚コンポ ジット
☆火星はいつまで観れるの?
 8月27日の最接近を過ぎてしまうと、何か世間では終了したかのように なっておりますが、火星はまだまだ絶好の観望期間中にあります。 この時期の火星の状況は、マラソンにたとえますと、折り返し地点を やっと過ぎたあたりで、これから急激にではなく徐々に地球から離れていきます。 9月末で等級が−2.0、視直径が20.8秒、10月末では等級−1.2、 視直径15.0秒となって、中接近時並の大きさを保っております。
 また、火星は離れていくとともに少しずつ欠けていきますので、天文台で観望される 際にはそれらの変化についても注意して観察してみてください。

猪 名 川 天 文 台

★★★★ 2003年8月27日 ★★★★

世 紀 の 大 接 近 を 迎 え る !!


【 観測時間 】
 20時30分から27時30分
【 観測状況 】
 猪名川天文台では世紀の火星大接近を多くの皆様方と一緒に迎えることができました。
 当日は、熱心な天文ファンが世紀の天体ショーを一目この眼で確認しようと、 火星が昇る前から天文台の入口を取り囲むといった状態が深夜まで続きました。
 しかしながら、大野山の天候は皆様の期待とはうらはらに空一面曇り空と化しており、 雲の隙間から時々火星のまぶしい光が顔を出すといった状態で、完璧な火星の姿を望む ことができなかったのが悔やまれました。
 赤く染まった美しい火星を見ることができなかった皆様も、火星の観望好機はまだまだ 10月中旬までは大丈夫ですので、天候のよい日にもう一度天文台に足を運んでください。 必ず見事な火星の姿を見ることができると思います。
お待ちしております。

☆極冠の変化
 最接近時火星を眼視で観察いたしましたら、極冠が小さいながらもまだ十分に確認が できるような状況でした。当日、観望に来られたお客さんの中で、少数ではありますが 幸運な方が何人かおられました。そして、私の「米粒の小さくしたようなものが見えますでしょ。 これが極冠ですよ。」という問いかけに「見えます。」と満足そうな笑顔でお答えをいただきました。
 極冠はもう少しの期間大丈夫なのかなと思っておったのですが、ところが観望会の後写真撮影を おこない前回の23日の写真と比較いたしますと、やはり極冠の減少は確実に進行しておりました。 残念ながらあと少しの期間で消滅してしまいそうです。
極冠をご覧になりたい方はできるだけ早く天文台へおこしください。

 
【図7】 2003年8月28日01:46 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/15秒 80枚コンポ ジット
☆火星の模様
 さて今回の火星の模様面ですが、前回の観測時と同様の位置が写っているようです。 せっかくの大接近時であったのですが、シーイング(大気の流れによる像の揺らぎ) 並びに天候が非常に悪く、火星表面の模様を鮮明に写し出すことができませんでした。
 今後、火星は地球から徐々に離れていくのですが、猪名川天文台ではできるだけ多く 観測を実施いたしまして、ホームページにて皆様方にご報告させていただきます。

猪 名 川 天 文 台

★★★★ 2003年8月23日 ★★★★

火 星 の 極 冠 が 消 え そ う !!


【 観測時間 】
 20時30分から24時00分
【 観測状況 】
 本日、猪名川天文台では世紀の火星大接近を一人でも多くの方々に見ていただくために観測会を 実施いたしましたところ、あいにくの天候にもかかわりませず阪神間各市からたくさんご参加 いただきまして誠にありがとうございました。楽しんでいただけましたでしょうか。
この場をおかりいたしまして御礼申し上げます。

☆極冠の変化
 前回8月9日の観測で火星の極冠が少しいびつになってきていることをご報告いたしましたが、 今回の大接近直前の観測の写真を確認しますと極冠の縮小が相当の速さで進行していることが伺えます。 おそらくこのような状況から察しますと、近日中には極冠全体が消滅するのではないかと推測して おります。この内容が交信された時期にはどうなっているのでしょうか。 ぜひ、この点にも注目して天文台の望遠鏡で確認してください。

☆火星の模様
 今回の火星の模様ですが、皆さんが観測会で眼視観測をされたとき「横一本に筋が見えます。」 とおっしゃっておられましたが、そのとおり写真でも一本の筋状の模様を確認することができます。 これらの模様は火星の「シレーネスの海」、「キンメリウムの海」から「小シュルティス」、 「ヘラス」の一部にあたる部分だと思います。
機会がありましたら一度、図書館などで火星図と照合して下さい。 新しい発見があるかも知れません。

 
【図6】 2003年8月23日23:47 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/15秒 143枚コンポ ジット
☆大きさの変化にも注目
 次に今回の大接近直前の写真をご覧ください。火星がすごく大きいことに気づきませんか。 5月当初の観測開始と比べますと視直径が5月初めで9.7秒、今回の8月23日で 25.0秒と約2.5倍に成長しており、それらの変化の過程が各々の観測時の写真資料からも 認識することができます。
 また、今回に至るまでに火星は私たちに色々な表面の模様も楽しませてくれました。
 今後、地球との最接近を終え離れていくのですが、また色々な表面の姿を見せながら 遠のいていく姿を楽しみに観測を続けたいと思います。 

猪 名 川 天 文 台

★★★★ 2003年8月9日 ★★★★

火 星 の 極 冠 に 変 化 !!


【 観測時間 】
 21時30分から27時00分
【 観測状況 】
 全国各地で土砂崩れや河川の氾濫等、多大な被害の爪あとを残して通過していった台風10号。 翌日は台風一過の天候に恵まれるのでないかと観測に入ったのですが、なかなか大野山山頂は 天候が回復せず、ようやく回復の兆しが見えたのが夜半でした。

☆火星の動き
 火星はすでに「みずがめ座」から「やぎ座」に向かって逆行移動を行っております。 しかし、その動きは鈍く、当初接近してきたときの順行時の動きに比べると移動範囲は 狭くなっております。

☆極冠に変化
 火星をよく見ると端っこに一部白い部分があることに気がつきます。これが南極冠と 呼ばれている地球の南極に当たるもので、ドライアイスや氷などが積もった部分です。
 火星が最接近する8月は火星の南半球では春から夏へと季節が移っていく時期に当たり、 南極冠がだんだん小さくなって最終的には消えてしまうそうです。
 今回の観測写真で、この南極冠の形に一部変化が起こってきているのを観測しました。 南極冠の形が写真でもわかる様に少しいびつな形に変化しております。【図4】
 今後更に変化をしていくものと思われます。猪名川天文台の口径の大きな望遠鏡ならば、 南極冠の形のいびつな様子が見えるかもしれませんので、この機会に一度自分の目で 観察してください。

 
【図4】 2003年8月10日00:35 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/15秒 115枚コンポ ジット
☆火星の模様
 今回の写真からは、火星の「サバ人の湾」、「子午線の湾」、「マルガリティフェルの湾」、 「アキダリウムの海」などを観ることができます。

☆私も今が旬!
 この8月は世紀の大接近で「火星」がちやほやされているのですが、「天王星」もまた観望の 好機を迎えております。明るさは6等星で視直径が3″と小さいのですが、望遠鏡で見ると少し緑色で 輝いております。
 日ごろあまり注目度が低い惑星ですので、未だ見たことがない人も多いと思いますので火星と 一緒に観望してください。写真撮影を行いましたので掲載しておきます。【図5】
 双眼鏡でも確認はできます。
 
【図5】 2003年8月10日00:51 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
      50枚コンポ ジット

猪 名 川 天 文 台

★★★★ 2003年8月2日 ★★★★


【 観測時間 】
 21時30分から24時00分
【 観測状況 】
 今年の梅雨は本当に長かったですね。ようやく梅雨も開け、長い間火星の観測が中断しておりましたが、 やっと再開することができました。
 さて、現在の火星の状況ですが、等級が−2.4等星、視直径もすでに22″を超えており、 東から昇ってくる姿はひときわ目立っておりました。20倍程度の双眼鏡でもその大きさは他の星とは 比較にもならないほど大きく赤く観ることができました。【図3】
 次に、火星の動きですが、今までは快調に「やぎ座」から「みずがめ座」の方向に 順行移動(東から西への動き)をしてきておりましたが、最近はスピードダウンを しながら東へ進み7月31日(留)を境にして、今度は逆行移動(西から東への動き)に 移っております。その後はまた留を迎え、さらに順行移動に移っていきます。
 これは惑星独特の動きで、太陽に近い内惑星は外惑星より公転周期が早いので、 内惑星が外惑星を必ず追いつき追い越していきます。
 このように追いつき、並び、追い越してゆくとき、天球上では惑星が今までとは 反対方向に動き始めます。このことを「逆行」と呼び、そして、順行から逆行に、 逆行から順行に移る点では、惑星の動きが停まったように見えることから「留」と 呼ばれています。
 また、太陽、地球、外惑星の順で並んだときを「衝」と呼び、 このときは惑星が真夜中に南中するため、一晩中観察することができます。 今回の衝は8月31日となっております。
 
【図3】 2003年8月2日23:48 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/15秒 115枚コンポ ジット
 先月、火星で大黄色雲(砂嵐)が発生したとのニュースもあり、表面の模様が 確認できないのではと心配していたのですが、何とかおさまったみたいです。
 この時期になりますと、小型望遠鏡でも火星表面の模様を十分に楽しむことができますが、 猪名川天文台の50センチの望遠鏡を使えば更に詳しい模様なども観察することができますので、 ぜひこの機会を逃さず足を運んでください。

猪 名 川 天 文 台

★★★★ 2003年6月7日 ★★★★


【 天  候 】
 日中は概ね晴れ(青空に薄雲が張った状態。)。日没後から夜半前にかけて曇り一時雷雨、その後夜半前から未明にかけては好天に恵まれ快晴。
【 観測時間 】
 21時30分から翌朝3時00分
【 観測状況 】
 この日の火星は、23時40分頃に東南東から昇りはじめ、高度が高くなるにつれ火星特有の赤みが増し、前回の観測時より「一段と成長(接近)したな。」という印象を受けました。
火星の現在の位置ですが、やぎ座のデルタ星の少し東で美しく輝いている姿を眼視で確認しました。 前回の観測日(5月3日)から比べると、東のみずがめ座の方向にずいぶん順行移動しておりました。
 さらに、光度についても、晴れ渡った全天で目を引く明るさとなっており、木星に近い−1等級の明るさに近い状態までになっているように感じられました。
 望遠鏡を通しての火星ですが、今回は寒気が流れ込んだ影響から日没後は雷雨となり、 その後天候は急速に回復し透明度もバツグンとなったのですが、大気(空気の流れ)の 状態が相当悪い状態となってしまいました。 このような状況では当然シンチレーション(像の揺らぎ)も最悪の 状態となります。 結果、この夜の眼視観測では火星の像の揺らぎが非常に激しく、表面の 模様などの確認すらできないという観測結果となりました。
 この日、撮影をした写真を【図2】に示します。前回よりも、大きく見えるようになってきましたが 揺らぎのために、模様はぼやけてしまっています。
 これから夏場にかけては、比較的シンチレーションも安定するといわれておりますので、 今後の観測に期待しております。
 
【図2】 2003年6月7日25:48 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/15秒 95枚コンポ ジット
 これから長〜い、ジメジメ・ムシムシの梅雨の季節に突入し、星見も遠のくと思われますが、 このように、火星の出の時刻も6月に入り上旬で11時台と、観察しやすい時間帯に入ってきております。
 うっとうしい梅雨の晴れ間のひとときには、ぜひ一度夜更かし(?)をして火星観察を行ってみてはいかがでしょうか。

猪 名 川 天 文 台

★★★★ 2003年5月3日 ★★★★


 猪名川天文台では、8月27日の夕方地球に大接近する火星に向けまして観測を始動いたしました。
 火星の接近というのは、別段とりたててめづらしい現象ではないのですが、今年の接近は特別で、 20世紀で最大の接近があった1924年以来、実に79年来の接近で、 1924年を上回る大接近となります。
 この機会をのがすと2050年までこのような大接近を観ることができませんので、 ぜひこの機会に火星の観察を行ってください。
 今回の観測は5月3日から4日にかけて行いましたが、あいにくこの日は、夜半前から空一面に雲が張り出し、 時折雲を通して火星が眼視で確認がやっとという悪条件での観測となりました。
 この日の火星は、「やぎ座」のあたりに見えており、今後「みずがめ座」の方向に移動していきます。
 大きさも今月に入り、視直径が9″(最大接近時25″)を超えてきており、明るさも「さそり座」の 1等星であるアンタレスと同程度の光度−0等級で輝いております。
 今後、日増しに大きく、明るく輝きを増していく火星が見られるでしょう。
  この日は前段で述べましたように、天候不順、気流の状態も安定しない状況でしたが、望遠鏡を通しての 火星の眼視観測では、かすかにではあるが、白い南極冠や火星特有の暗い模様をとらえることが できました。 この日、撮影をした映像【図1】からもその様子が見られます。
 
【図1】 2003年5月3日27:45 50cmカセグレン反射望遠鏡
      ニコンクールピクス+LV15o×2.5電子ズーム
     1/8秒 64枚コンポ ジット
 このあと、地球に接近することによってさらに火星の模様等がはっきりしてきますので、 もっと詳細な観測ができると期待しております。また、観測結果につきましては随時報告させていただきます。

猪 名 川 天 文 台

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